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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
5話
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 それと同時に、両脇から2機の接近を把握。亡骸と化した灰色の《百式改》を蹴飛ばし、サイドスカートからビームサーベルを引き抜く。
 左からサーベルを振り下ろす《百式改》めがけて、逆手に握ったビームサーベルを薙ぎ、受け止める。さらに右から砲撃の挙動を取る《百式改》へは、ビームライフルの牽制射を浴びせる。
 背後からサーベルで切りかかってくる手負いの《ジムV》へは腰のビームカノンを指向し、蒼白の光軸を胴体に叩き込んだ。
 僅かに数瞬―――3方向からの攻撃を全ていなす《ゼータプラス》のパイロットには微塵の苦も感じられない。さも平然といった様子で《ジムV》を屠殺すると、右翼の《百式改》にさらに牽制射を砲撃しながら、左翼の《百式改》が左腕に2本目のサーベルを握るより早くビームライフルをコクピットに指向―――トリガーを引いた。
 ぼん、と爆発する前にスラスターを逆噴射―――そのさなかにも、《百式改》が放つビームライフルを平然と躱しながら、漆黒の《ゼータプラス》はライフルを投げた。
 腰のビームカノンの砲撃で牽制しつつ、ビームサーベルグリップを引き抜く。青白い閃光が口から吐き出され、数万度に達する粒子の束はさながら光の剣と化した。
 両逆手にビームサーベルを構えると、《ゼータプラス》がスラスター光を爆発させた。背中から2本突き出るフィン・ファンネルユニットのせいもあってか、肢体をもったMSというには異形の《ゼータプラス》が血色の瞳をぎらつかせる姿はある種スプラッターですらある。《百式改》のパイロットが悲鳴にも似た咆哮を上げるのを知覚したパイロットは、表情をぴくりともさせずに黄金の体躯を視界に固定した。
 最後の1射を躱し、クロスレンジに入る瞬間に《ゼータプラス》が左腕のサーベルを振りぬく。
 回避挙動を取ろうとしたらしいが、遅かった。灼熱の刃が《百式改》の右腕を肘から先切断し、スパーク光が爆ぜる。勢いのまま横なぎに払われた右腕のビームサーベルの一閃をあわや回避してみせた《百式改》が左腕にビームサーベルを握る―――。
 パイロットは、慌てもしなかった。振りぬいた勢いのまま、さらに《ゼータプラス》の体躯を捩りきる。その場で反転する勢いのまま、《百式改》の左腕めがけて後ろ回し蹴りを見舞った。
 直撃箇所は丁度手のひらの部分―――反動で握ったサーベルグリップが放り出される。
 回し蹴りを食らって怯む《百式改》が立ち直る前に、正対する形になった《ゼータプラス》は、両逆手のサーベルをまとめて《百式改》に突き立てた。
 無味乾燥な感触が手を伝う―――眼前を見れば、串刺しにされた《百式改》が死人のふりをしているように漂っていた。
 ※
「状況終了―――VIBS、カットします」
 オペレーターの声が耳朶を打つ。アーガマ級『エイジャックス』の艦橋で腕組みしながら眼
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