5話
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る。
《ZZガンダム》のそれに比べれば、ハイメガキャノンの出力は大きく劣る―――上唇を舌で撫でたパイロットは、ハイメガキャノンのトリガーを引き抜いた。
青白い爆発的な閃光が一瞬頭部に閃いたかと思うと、その閃光が一直線に屹立する。メガ粒子の奔流―――濁流は一瞬で眼前のデブリを蒸発させ、冥い宇宙を貫いていく。亜光速の熱射が後方に位置していた《ジムV》3機目がけて殺到し、まず先頭にいた小隊長機を飲み込んだ。
1機。
感慨を感じる暇はない―――敵の間に一瞬広がった感情の幽れを理解するや、フットペダルを踏み込んだ。
爆発的にスラスター光を迸らせ、加速を仕掛ける。
狙いは残りの《ジムV》―――脇から奇襲をかける形になった《ゼータプラス》がビームライフルを掲げる。
トリガーを引いた。
バレルの長い黒光りする銃器の切っ先に穿たれた孔から、青白い閃光が吐き出される。立ち上がった光の矢は一瞬で《ジムV》に襲い掛かり、右腕の肘を貫いた。
まともな戦力は後4―――思案を裂くようにロックオン警報が鳴る。
背後から《百式改》が3機、そして残りの《ジムV》が支援用の大型ビームライフルを指向するのを認識。
迷いはない。
《ジムV》がビームライフルを構えかけた時には、《ゼータプラス》のライフルが《ジムV》を冷たく見据えていた。
交錯するメガ粒子の瞬き。青白い閃光は、冷徹に《ジムV》のコクピットを貫いた。襲い掛かる粒子ビームを、《ゼータプラス》は躱す素振りをとったのかと思えるほどの微細な挙動で回避してみせた。
あと3。
攻撃警報の劈くような音―――パイロットは、HUDを見ようともしなかった。背後を見ようとすらなく、AMBAC機動で素早く反転しつつ、彼女は殺到する数条もの光軸を幻視た。
必中の一撃で放たれたはずの攻撃―――されどその必殺は、相手の心情としては、という限定付きの言葉でしかない。
《ゼータプラス》のパイロットにしてみれば、それはあまりにもお行儀のよい攻撃でしかなく、無意味な単調さを感じさせるだけだった。
パイロットの挙動コンマ数秒にまで追従する《ゼータプラス》が身体を捩る。機体を掠めるメガ粒子の牢獄を平然と脱した漆黒の《ゼータプラス》が毒々しいほどに紅いデュアルアイを閃かせ、ビームライフルの銃身を左手で握りこんだ。
バーニアで加速。さらに放たれるメガ粒子の弾丸を紙一重で躱して見せながら、彼我距離を瞬時に皆無にした。
眼前で爆ぜる粒子ビームの閃光。
零距離で放たれたビーム砲を嘲笑うように回避するや、ビームライフルの先端からビームサーベルを発振。慌ててビームサーベルを引き抜こうとする《百式改》の胴体を横なぎに両断した。
超高熱の刃がガンダリウムの装甲を融解し、液化した金属が飛沫のように舞う。
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