4話
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―――MSは、大よそ見ただけでどんな機体かわかるものだ。Z計画の機体なのか、それとも今はアナハイム・エレクトロニクスに吸収されたジオニック社の機体なのか、ジオニックと双璧を為したツィマッド社の機体なのか―――。
―――クレイは、絶句した。
驚愕で絶句したのは、人生で初めてだった。呼吸をすることすら困難になる気分になりながら、ガントリーに収まる漆黒の機体を眺めた。
大柄な体躯は、現在地球連邦軍で主力を務めるRGM-86R《ジムV》や、RGM-89《ジェガン》と比して、特異な出で立ちだった。曲面と直線のデザインが入り混じった様は、ジオン系のMSと地球連邦のMSどちらの印象も感じさせる。バックパックから突き出た2本のビームサーベルグリップに、頭部メインカメラユニットに並列して2つ置かれた瞳は、人間の目を想起させた。
しかし、ガンダムタイプ特有のそのメインカメラユニットは、従来のガンダムタイプとは似ても似つかないものだった。頭部保護のために覆われた外骨格により突き出た顎は、さながら猛禽の嘴とでも言おうか。切れ上がった血濡れの瞳を見れば、やはりその名称が似合っていそうだ。
「やっぱり有名なの? これ」
その機体と、明らかに動揺するクレイを見比べたジゼルが不思議そうに言う。クレイが応えるより早く、紗夜が「マイナーってところで有名だな」とやけに誇らしげな表情をした。
「ORX-013SR《ガンダムMk-V》。3機しか生産されなかった機体かな」
紗夜の言葉が頭蓋で踊る。
クレイは、我知らず拳を握りしめていた。
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