4話
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の間、ずるずると引きずられるようにして格納庫の中に入っていく。
格納庫に入れば、日差しがなくなるだけ涼しい物だ。
「いやぁデブさんはいつ見てもゴツイねぇ」
両手を腰に当て、ジゼルは感慨深そうに溜息を吐いた。
彼女が『デブさん』などという不名誉な名前で呼んだ機体は、クレイもすぐに見つけられた。
ガントリーに佇む、暗灰の機体―――MSZ-010C/D《FAZZ》が2機、相見える形で窮屈そうにしていた。
第一次ネオ・ジオン抗争時に勇名を馳せたジュドー・アーシタという少年が乗った《ZZガンダム》及びその増加装備の技術実証機として生産された《FAZZ》の正式採用モデル。小惑星ペズンで勃発した『ペズンの反乱』の折に実戦投入された機体は、《ZZガンダム》の試験運用のための機体ということもあって装甲材や武装の面などで性能が劣る物だったが、正式採用モデルの《FAZZ》は《ZZガンダム》の性能と謙遜のない物に仕上がっている。重火力による中・遠距離砲撃戦を主任務とする都合、不必要な可変機構は廃止されているが、増加装甲の排除機構を完備している。
とはいえ、こうした大型機を大量生産するメリットは、現行の地球連邦軍にはない。結局20機ほどが生産されたのち、早くも生産打ち切りとなった機体は、いわゆる『レア物』MSとしてマニアの間では有名だ。
マニアとまではいかないが、クレイもまたそれなりにMSに興味を抱く人間だ。ハイスクール時代に、サイド6で行われた総合火力演習の際に実物を見たときは感動したものだが―――実際に軍人として、そしてMSパイロットとして改めて相対すると、得も言えぬ感動がある。
しばらく茫然と眺めていると、「おおうジゼルぅ!」と聞きなれない声が耳朶を打った。視界の中でふらふらと手を振る人影がひょこひょこと跳ねる。
整備兵用の作業着に身を包み、赤いセミロングの髪をポニーテールに結んだ彼女―――少女といっても誤解がない小柄な女性が呼んでいるらしい。
ちょこまかとした―――という形容がとても似合う。小走りで向かってきた彼女は、そのままジゼルの胸へ痛烈なダイビングをかました。鈍い音をしながらも、平然とその小さな塊を受け止める。
「おーぅ、いいねいいねぇ。この柔らかさ、癖になるよ」
その豊かな双丘をまさぐる羨望のクライミングをしながら、野卑な笑みを浮かべる少女。発言だけ聞けば、ただの変態のおっさんでしかない。
「本当紗夜はこうするの好きだねぇ」
「胸、揉まずには居られない! って昔のエロイ人が言ってた」
呆れた笑みに対して、至って大真面目な顔で彼女は応じる。
数秒ほどうらやまけしからん行為を続けたあと、満足したらしく、その胸から顔を離した。何の意図か、親指を屹立させてドヤ顔をする一名。ジゼルも同じように親指を立てて応じた。
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