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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
3話
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 新造コロニー『ニューエドワーズ』。
 かつてのアメリカ軍の空軍基地の名を受け継ぐこの軍事コロニーは、その名の通りに新型兵器の開発・試験を行う軍事コロニーという側面を持っており、その構造は採光ミラーを敷設する開放型コロニーである。数基のコロニー群からなるこの小規模なコロニー群は、将来的に次のサイド―――サイド8建設のための最初の一歩として造営され、建設されてから2年という若いコロニー群である。
 そんな来歴を持つ一連のコロニー群、プレ・サイド8の内の1つであるニューエドワーズ内の地球連邦軍基地司令部の某所にて、クレイと攸人は着慣れない服に身を包んでいた。
 旧世紀、事務用の制服と野戦用の制服を分けた方が便利だ、という考えの元、軍の制服は勤務服と野戦服に分けられることになりさらに勤務服に至っては、儀礼用―――要するに高官との会合や、式典などで着込む服というのも用意されるわけだが、まさにクレイと攸人が来ているのはそれだ。旧ジオン公国及びジオン共和国の制服のそれに比べれば幾分か簡素ではあり、また二人は新任少尉でもある。襟元の階級章と、MS乗りの証たる特有の銀のバッジがあるぐらいで、儀礼用とはいえまだまだ飾り気に乏しい寂しいものだった。
「やっぱこれ堅苦しいよなぁ……」
 森閑とした通路を歩きながら、辟易としたように顔を顰めた攸人が言う。時刻は未だ5時を少し回ったところ―――起床ラッパまであと1時間以上。その上今日のこのコロニーの気温設定は朝っぱらだというのにやや熱いという始末だ。窓からちらと外に一瞥の視線をやれば、朝焼けの紅の空が広がっていた。
「まぁそういうなよ。相手は基地司令だぜ。適当な格好をするわけにもいくまいて」
 模範生的な返答を敢えてしたクレイも、しかし内心はまったく攸人に大いに賛成だった。喉元までぴっちり閉められたボタンの1つも外したくなる―――咽喉もとに指を差し込み、僅かに隙間をつくって風を送る。少しだけの涼しさだったが、無いよりはましだ。
 攸人が呻いているのを励ましていると、通路の先に人影がちらつく。上官なら、敬礼をしなければと素早く視線を流すと、よれよれのYシャツにスーツという出で立ちの男がつかれた顔でこちらに向かってきているところだった。
「あー涼しそうだ……」
 腕まくりし、胸元がだらしなく開いたその格好に羨望のまなざしを送るクレイの隣人。
「サナリィかな。アナハイムかな」
 声を落として、隣人が言う。
「さぁ……ボウワかヤシマかもな」
 首を傾げてクレイが応じる。このニューエドワーズには単に地球連邦軍基地があるだけでなく、サナリィやアナハイム・エレクトロニクス社の支部が建設されている。早朝だと言うのに、時折軍のBDUではない整備服に身をつつんだ人が通り過ぎるのは、そういう事情がある。
 朝っぱらからガチガチ
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