2話
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窓の向こうで、連絡船と相対速度をぴったり合わせて優雅に飛行する、白と橙のツートンで塗られた可変機の外見は、Zタイプの機体にしてはずんぐりしている印象があった。
「《ZU》……いや、《ZV》じゃないですか? 『ニューエドワーズ』で試験をしているって言っていましたし」
「あんなにごつかったかな。もっとこじんまりしてたような」
「強襲・砲撃戦仕様の強化モジュールがあるってあったからそれを装備してるのかもな」
そうだっけ、と視線を外に投げながら首を傾げる攸人。事前配布された資料にきちんと書いてあっただろうとは思ったが、神裂攸人という男は案外―――というか結構おざなりな性格をしていた。
まるで空を泳ぐかのように悠然と飛ぶ白亜の機体を雁首揃えて眺めていると、その機体に、もう1機の機影が並ぶ。今度は平べったい外見から、すぐにZタイプの機体だと知れ、「こっちは《ゼータプラス》か」と攸人が身を乗り出して呟いた。
3人でその機体を眺めていると、ウェブライダー形態の《ゼータプラス》が瞬き一つで可変し、四肢を備えた人型に変身する。ティターンズが開発したRX-178《ガンダムMk-U》より正式に実装されたムーバブルフレームが成せる技だ。ガンダムタイプ特有の、並列したデュアルアイを鮮烈に閃かせた《ゼータプラス》がバーニアを焚き、白亜の機体の上部に移動すると、牽引グリップを握り込む―――可変機に可変機がまたがるというなんとも奇妙な光景だった。
ライフルを腰にマウントすると、その凛然とした瞳がこちらを見とめる。
その赤い眼差しがクレイを突き刺す―――見られた。3人を全体として見るのではなく、正確にクレイ1人を見定めたような錯覚を、覚えた。
無論そんなはずはないのだろう、自意識過剰なのかなと思っていると、窓の向こうで灰色の《ゼータプラス》が右のメインアームをゆらゆらと振る。人間が挨拶をするかのようなその動作がやけに人間臭い。その上愛嬌があるのが反則的だった。思わずけらけらと笑いだす攸人につられ、モニカとクレイも頬を緩めた。数秒ほどその人間味あふれる動作をした《ゼータプラス》が牽引グリップを離し、これまた一瞬で可変すると、白亜の機体と共にスラスター光を迸らせ、連絡船の先を進んでいく。
(あと1時間でニューエドワーズだ。お客さんら、シートベルトをしててくれよ)
機長からの砕けた声の無線が入る。シートから離れていた攸人とクレイは安物っぽくところどころ剥げているシートに腰を下ろすと、これからを思案し、また談笑しあった。
第666特務戦技評価試験隊、通称『ゲシュペンスト』。攸人とクレイが所属することになるであろう、幽霊の名を冠する部隊への期待と展望、そして幾ばくかの不安を湛えた3人を腹に収めた白い連絡船ウェンディは、問題もなくサイド6コロニー
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