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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
1話
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た。
 従来ニュータイプしか操作しえなかった遠隔操作兵器「ファンネル」を、通常の人間でも扱えるようにしたこの準サイコミュ兵器は、本場のファンネルに比べれば操作性は劣る。2次元的な機動しか取れないのがその主たる制約だが、かといってオールレンジ攻撃の威力は言うに及ばず、だ。
 ハイエンド機たる《ドーベン・ウルフ》のアビオニクスは、ミノフスキー粒子の散布された戦場下にあって、《ジェガン》や《ネロ》よりも先んじて敵機を捕捉する。同時に《ドーベン・ウルフ》のバックパックの一部が展開。ビーム砲を有する小型の攻撃端末が射出され、真空の闇の中を滑るように征く。同時にエイリィの《ヤクト・ドーガ》のファンネルが3機、プルートの《キュベレイ》が3機のファンネルを射出。まるで東洋に居た、ニンジャとかいう謎の戦闘集団もかくやといった風に静かに宇宙を忍び、相対距離を縮めつつある敵部隊を包囲する。
 前衛の《ジェガン》2機は一直線の軌道。後衛の《ネロ》は包囲のために左翼と右翼に展開している。
「前の《ジェガン》は俺とヴォルフ02で狩る。03は右翼を狙え。砲撃タイミングは03に合わせる」
 言いながら、ミノフスキー粒子の干渉を受けながらも使い物になる程度の性能を示すレーダーを一瞥。全天周囲モニターに映る映像と統合し、敵機が映る空間に赤いブリップが表示されるのを確認する。
(―――任せといてよ。ばっちり決めてやるんだから)
 ヘルメットのバイザー越しに、プルートが笑う。それが不敵な笑みなのか、それとも―――というのを確認することはない。プルート・シュティルナーは決められる。それが彼女の技量であり、宿命なのだ。
(カウント開始。10、9、8、7、6、5、4……)
 ファンネルとインコムの包囲網に気づいたらしい敵機の隊列が不意に乱れる。インコムからの警告ウィンドウが立ち上がり、敵機の攻撃を知らせているが―――無為だ。束の間のロックオン警報に、相手は驚愕の世界で立ち往生している。正確さを欠いた砲撃で、1メートル弱の砲台を落とすことは不可能―――。
(カウント0!)
 音声が引き金となった。はるか遠方、疎らに閃いていた光を幽閉するかのごときメガ粒子の閃光が輝き、計15発のメガ粒子砲が格子の如く瞬く。MSの携行するビームライフルに比べれば、出力で劣る攻撃端末のメガ粒子砲一撃が致命傷になることは無い。されどそれは、ガンダリウム合金をも融解するメガ粒子―――致命傷を齎すほどの脅威ではないが、立て続けにくらえば十分致死量だ。
 まず、先行する2機の《ジェガン》がその餌食になる。
 宇宙に巣食う獰猛なグンタイアリの群れがその濃緑色の巨体に襲い掛かる。メガ粒子の牙が《ジェガン》の装甲を喰らい、融解した金属の血しぶきが舞う。反撃とばかりに応射のビームライフルを放つが無駄なことだった。当て
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