第17話 晋陽ライブ
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クールな彼である。
だが、それでも
「ならおれらにも聴かせろ!」
「そうだ!そうだ!」
「まだ今日はお前の歌を聴いてねえぞ!」
「私たちにも聴かせてえ!バサラあ!」
「バサラ〜!」
「ボンバー!」
街の人たちがバサラにせめて歌ってくれと、そう呼びかける。
その声はやがて大きくなり、ついには街中の人たちが呼びかける。
それにバサラは
「へへ!ここまでコールされたなら歌うしかねえぜ!いいぜ!お前らみんなノリがいいじゃねえか!」
と答え、街の中心部へ駆け出し、ギターを構える。
そして、
「よっしゃあ!満員御礼大感謝!ド派手にいくぜえ!お前らまとめておれの歌を聴けええええ!PLANET DANCE!
過激にファイヤー!!」
『ボンバー!!』
『ギャオ〜ン!』
バサラが歌い、街中の人、赤兎がそれをノリノリで聴く。その時は確かに街一つがライブ会場になり、街中の人たちがバサラの歌に魅了されていた。
そして、月と賈?に兵士が報告に行き、それを聞いた2人が駆けつけた。
2人は街の様子に驚く。
街の中心部にはバサラが歌っており、それを街中の人たちが聴いている。
その中にはあの赤兎までも入っている。
賈?は戦慄した。
こんな、歌だけでこんなにも多くの人を魅了し、骨抜きにするなんて。
恐ろしい。
賈?の軍師の部分は、この男はいつか始末せねばならないと、そう告げるが、賈?の他の、人としての部分は、こんなにも多くの人を魅了することができるなんて、なんてすごい男なんだ!殺すなんてしてはならないと告げてくる。
どうすればいい。
そう思いながら月の方を見る。すると、月はバサラの歌に聴き入っている。その顔には生気が溢れており、まだ、まだ聴かせて。そう言っているかのようだった。
そして周りを見てみる。
街の人たちも、先ほど案内させた兵士すらもバサラの歌に夢中になっている。
まるで、この歌よりもすごい歌なんて無い!
そう感じさせるほどにだ。
賈?は、バサラに対してあんなに難しく考えていた自分が馬鹿らしくなった。
(あいつは、あいつは本当にすごいやつね。この10日で、こんなにも多くの人たちの心を掴んだんだから。
あいつには裏表なんか無い。ただ己の想いや情熱を歌に乗せて聴かせる。相手が聴いてるかなんて関係無い。それだけ歌に己を掛けてる。そんなやつ相手に難しく考えても無駄だわ。)
そんなことを考える。
そして改めてバサラの方を見て、
「あんたには負けたわ・・・」
誰にも聞こえないように、ぼそりと呟く。
視線の先にいるバサラは、ノリノリで歌っていた。
(ふふ、聞こえたよ、詠ちゃん。)
そう月が心の中で呟き、あとで弄り倒さなきゃ、と考え、賈?はこの夜、親友に弄られるのであった。
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