第17話 晋陽ライブ
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「すげえ。すげえぜ、赤兎!」
そう、赤兎の背中で叫ぶバサラ。
赤兎の背中に跨り、その体の生み出す速さを、風を、そして生命を感じていた。
(空や宇宙を飛ぶバルキリーとは違う。同じ大地を走るバイクとも違う。こんなに生命を感じるなんて!これが、これが赤兎か!)
「うおおおお!!感じるぜ!!お前の生命を!そして、お前も感じろ!おれの生命を!想いを!!いくぜ!おれの歌を聴けええええ!!POWER TO THE DREAM!!」
『ギャオ〜ン!!』
そして、バサラが歌う。それは、赤兎にだけではなく、この大地に、中華に、世界そのものにおのれの情熱を、想いを、生命をぶつけ、感じさせる。
そう聴こえるものだった。
それを聴きながら、赤兎はなおも駆け、さらにその速さを上げていく。
バサラの歌を聴き、さらに生命力が増す、そう思わせる程だった。
そして、バサラと赤兎はまだ歌い足りない、まだ走り足りない、それぞれがそう言うかのごとく激しさを増していき、何処へと走り去って行った・・・
時間が経ち、その日の夕刻頃、晋陽の城にて、賈?が主君である董卓こと月に昼間の件を報告していた。
「報告は以上よ、月。」
「お疲れ様、詠ちゃん。」
そう会話が終わり、2人は沈黙する。
沈黙したのは、昼間の報告の件についてだ。
「それにしてもあの男、何者なのよ・・・あの赤兎に、それだけじゃ無くて私たちの軍馬にまで歌わせるなんて・・・」
どうやら赤兎よりもバサラのことが気になるようである。
(自分たちではどうしようも無かった赤兎を、歌で心を通わせた。
それだけではなく、あの赤兎を、自分たちの軍馬までも歌わせた。
こんなこと、この長い中華の歴史でも聴いたことが無いわ。
本当にあの男は何者なのよ?)
もし今後障害になるなら、排除することも考えたが、この親友でもある私の主は許さないだろう。
では、取り込むか?
それも無理だろう。
この10日間、あの男のことはまた聞き程度でしか知らないが、あの男は政治への興味も、意欲もまるで感じない。自分の歌を聴かせること、そして感動させることしか考えてない。
なにより国や軍に縛られること、利用されることを嫌う。
そんな男らしい。
(まったく、厄介だわ。)
そこまで考えてから溜息をついた。
そこへ月が
「ねえ、詠ちゃん」
と呼びかける。
「ん?なに、月?」
「詠ちゃんは、バサラさんのことをどう思う?」
「ど、どうって言われても・・」
賈?は、親友の質問に戸惑いを隠せなかった。
なぜ、こんなことを聞いてくるのか。
もしや、あの男に惚れてしまったのか?
そんなことを考えてしまう。
「わ、私は別に、な、なんとも思ってないわよ。どうしたの?月?」
とりあえず否定はしてみたが、もし、惚れていたら
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