閑話3 南陽での出会い
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か行くところがあるのかや?」
「・・・いえ、行くところはおろか、盗賊に村も大事な人を奪われ、頼る人もありません。」
「盗賊、にかや。のう、七乃ー?妾の領内に盗賊なんかおったのかー?」
「はいー、残念ながらわが領内では盗賊がいるのは確かですー。」
「そうかや・・・のう、お主、行くところが無いのなら妾に仕えんかや?」
「・・・私を、ですか?それは、なぜでしょうか?」
「お主が盗賊に村や大事な人を奪われたのなら、お主は1人ぼっちじゃろ?妾には七乃がおるが、そんなの寂しくて、妾なら泣きそうじゃ。
それに、お主を見ていると、父上を思い出すのじゃ。」
「・・・袁術様もお父上を?」
「そうなのじゃ・・・じゃから、お主の話を聞いて、妾に仕えて欲しいと思ったのじゃ。」
そういうことか・・・この子供が言うことに嘘はなさそうだ。
そして、七乃と呼ばれている女性も先ほどまでは笑顔だったが、今は主君の様子を心配している。
どうやら全て本当のことらしい。
ならどうするか。
私は今や天涯孤独の身。
この身が果てるところをこの方に救っていただいた。
ならそれだけの恩を返さなくては。
それに、この2人を見ていると、妻と娘を思いだす。
「・・・我が身はあなた様に救っていただかなくてはただ朽ち果てるのを待つばかりでした。なら、その恩を返さずして、なぜのうのうと生きていけましょうか。
この身、この魂、これよりあなた様のために捧げます。」
そう口に出す言葉は心よりの本心であった。
男にとって命を救っていただいた恩、そしてかつての妻と娘を重ねてしまうこの2人を放っておくことなどできやしなかった。
「そうかそうか!なら、妾のために存分に働くのじゃ!
妾の真名は美羽じゃ!次からそう呼ぶがよい!」
「あら〜美羽様が真名まで許すなんて、珍しいですねー。私の名前は張勲です。真名は七乃です。よろしくお願いしますね。」
2人はそう自己紹介する。
ただ、七乃の方はどこか怖い雰囲気を醸し出している。
なぜだろう?
「私のような者に真名まで預けてくださるとは・・・
我が名は『紀霊』、字は二郎、真名は?と申します。
これからよろしくお願いします。」
「うむ!よろしくなのじゃ、?!」
「はーい、よろしくお願いします。」
それから紀霊はわずか半年ほどで親衛隊の隊長にまで登りつめ、周囲を驚かせることになる。
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