友人 4−5
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パーティも終わり、部屋へ戻ろうかと腰を上げた俺を誰かが呼び止めた。
俺の名を呼んだ少年は、人混みを掻き分けながら走り寄る。その後方から何人か付いて来るが、全員に見覚えがあった。
「リーマスか...。それに、ブラック。ポッター。ぺティグリュー。...彼女は、エバンズだな」
「君の歌、やっぱり凄いね! 外国語だったみたいだけど、凄く綺麗だった!」
「ありがとう。...あと、少し落ち着け」
深呼吸を促すと素直に応じる。その姿にクスクスと声を漏らすシュアを、全員が取り囲んだ。
初対面である人間を再確認するように、頭から爪先までじっくり観察する。そして、そのパートナーである俺の方に視線が集まった。
「オルフェウス! こんな彼女がいたのか!?」
「彼女ではないが、同じ部屋で暮らしてはいるな」
「ええ!?」
「ええ!?」
「ええ!?」
リーマス、ぺティグリュー、エバンズの声が揃う。
まあ、無理もない。寮生同士でも男女は別の生活スペースがある。同じ部屋で暮らす事は不可能なのだ。
「おいっ! そこの一年は早く寮に戻るんだ!」
監督生の生徒が声を荒らげる。
ローブを着ていない為どこの寮の生徒かは分からないが、確かにもう遅い時間だ。俺やシュアが気になるのは理解出来るが、今は早く戻るべきだろう。
上級生からの注意に反発せず、素直に従い各自寮へと進み出す。
互いに「おやすみ」と声を掛け合い、それぞれの足取りで帰路に付いた。さて、俺も帰るとしようか。
誰もいない冷え切った石畳の廊下をシュアと並んで進む。
会話は無い。コツコツと足音のみが響いた。
無言の世界に痺れを切らしたのか、シュアはやや立腹した様子で口を開いた。
「眠い」
「文句は爺様に言え。それと...鱗が見えているぞーーーリズ」
「貴様が未熟者だからだろう。それこそ、文句はあのジジイに言うのだな」
なびかない者に文句を言っても意味は無い。
俺は、深い深い溜息を吐くのだった。
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