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逆さの砂時計
北の騎士の選択
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、著しく不調が出ます。貴女の場合は人間の音と別の音が混じって不協和音になっている。それを別の音に合わせて、人間ではない音楽に変えるのです」
 ……言ってる事が既に人間の常識を越えてる気がする。まさか、アーレストさんも怪奇現象の仲間なのだろうか。
 「難しく考える必要はありません。日常的に体の調子が悪いとか、ふとした拍子に、とか言うでしょう? つまりそういうものを「調子良く」しましょうか、という話です」
 解るような、何か違うような。
 ちらりと師範の顔を覗くが……自分で判断しろという意味だろう。横を向いてしまった。
 ……そうですね。自分で考える頭が有るのだから、頼るべきではない。
 正直要領は掴めてないのだが、師範は「情報の精査は状況が勝手にしてくれる」と言った。
 それは結局……
 「……よろしくお願いします、アーレストさん」
 頭で考えるな。感じろって事ですね、師範。
 「善処はしましょう」
 アーレストさんは、にっこりと綺麗に笑って応えてくれた。


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