暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第19話 マリアの受難
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われている魔人。
 多くの人間が虐殺された地獄の3ヶ月と記されており、リンゲルはその期間の犠牲となった国の一つだ。王国をたった2日で滅ぼしたとは記してなかったが、あの魔人ならやりかねない。

 魔人類最強の部類に入る魔人なのだから。


「ああ……知っているさ」

 ユーリが頷いたその時だった。

“きぃぃぃぃぃ………”

「(……なんじゃ?)」

 ミイラ男は違和感を覚えた。身体が全く動かないのだ。全く動かない、さっきまで話をしている男の方一点を見たまま……、視線も動かせない

「(これは……一体)」

 混乱してしまうのは無理もない事だ。かつて、この状況に見舞われた者は例外なく皆混乱をしているのだから。

『魔人ケイブリス……、知っている。……アイツは今でこそ、人間界に攻めてきてないが、今後はまだ判らない。……不可侵を謳ってるもう1人の魔人と睨み合っているからな』
「(……誰だ? 何を言ってる?)」

 ミイラ男は突然、頭の中に響く声に驚きを隠せない。だからか、素の言葉が出てきてしまっていた。だが、表情に出す事も出来ず声に出す事も出来ない。
 まるで、時が止まっているかのようだったから。

『……目的を達するために避けては通れない……通るつもりもまるでない、がな。……お前達の無念さも感じている。名を発したその時にな。……お前達の想いを共に背負おう』
「(ッッ!!)」

 その言葉……何故だかわからない。無償に嬉しく感じていた。
 あの絶望的な力を目の当たりにして、もうあれは天災も同義、運命なのだと、自分の中で諦めをつけていたのだが、自身の育った国を、仲間を、主君を、滅ぼしたあの名を憎いと思っていないか?と言われれば、嘘になるのだから。

 そして、わかった。

 この≪声≫は、その絶望と戦おうとしている。

 そして、無念を晴らしてくれるかもしれないのだ。あの恐ろしさを知っているからこそ、出来るのは、信じられない事だった。だけど、その常識をも覆しそうな気配を身に纏っている。そう感じるのだ。

『それに、ここにはまだ感じる。……荘厳な気配を……懐かしささえ、醸し出している気配を……、アイツ(・・・)もどうやら此処にいるようだ』
「(アイツ……?)」
『悪い、こっちの話、だったな』
「(お前は……ユーリと言う男、なのか?)」
『………』

 ミイラ男は意図してそう答えた。目の前にいる男も例外なく固まっている。だが、この世界に来た切欠は間違いなく目の前の男なのだから。

『ふ、違うとだけ言っておこうか。我はまだ降り立つ事が出来ないのでな……。その点は頑張ってもらうしかない。ではな…… 《うぁはん》とやらは、必ず届け出よう。いつか、また』
「(……ッ!)」

 そ
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