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ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第19話 マリアの受難
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「やれやれ……、まぁこれも仕方ないんだ。本当に、本当に緊急事態だからな。それより……」

 ユーリはミイラ男の方を向いた。
 マリアにとっては災難でしかないことだが、これは貴重な情報なのだから。それをくれたのだ。

「情報を感謝する。全てが終わったら、何か差し入れに来よう」
「おお、本当か?ワシは≪うはぁん≫を喰ってみたいのぉ。久しぶりに」
「ああ、それくらいならお安い御用だ。あ……少し遅れる可能性があるが大丈夫か?約束は違えない」
「構わんさね。ワシはもう200年も此処にいるのだ。……あのケイブリ……とと、それは兎も角、待つことには慣れてるよ」

 そう言って手を挙げた。その後、自身の棺の中へ手を入れると1本の剣を取り出す。

「これは、ワシと共に葬られた幻獣の剣じゃ。久しぶりに良い戦士を見る事が出来た。こいつを使ってくれ」
「……良いのか。見ただけで判る。これは相当な剣じゃないのか。正確に目利き出来る訳じゃないが、わかるぞ」
「だからこそ、じゃよ。こんな所で朽ち果てさすには勿体無さ過ぎるじゃろ?」
「成る程な……。重ね重ねすまない。使わせてもらうよ」

 ユーリはその剣、《幻獣の剣》を受け取った。
 手にする感触は、あの妃円の剣となんら変らない。手に馴染むし中々に重い。歴戦の戦士が使っていた剣だ。様々な思いも込められているんだろう。

「がははは! おいユーリ、それは随分良さそうな剣だ。オレ様に寄越せ!」
「……相変わらず傍若無人だな!? お前にはその剣があるだろうが。しかもオレが買ってやったヤツだ!」

 ランスとユーリはぎゃいぎゃい騒いでいた。
 それを見たミリは軽く笑う。

「あの2人、なんだか兄弟みたいだねぇ」
「あ、私もそれ、思った」
「それにしても、弟のほうがしっかりしすぎだろ? もうちょっと兄ちゃんしっかりして欲しいって思うな」

 ミリはランスとユーリを見つつそう呟く……。それは、どっちが兄でどっちが弟?マリアは、直ぐに判ったから、そっとミリに耳打ちした。

「あ、あの……、ユーリさんって19歳なんですよ?」
「……はぁ?? 嘘だろ、俺とタメだってのかい?」

 ミリは目を丸くさせながらユーリの方を見ていた。そのあどけなさが残る表情。確か、フードを被っていて 素顔を見るのは中々見えないのだが、今は所々破れていて、良く見える。……大人びているな、とは思ったが、まさか自分と同じとは思っても無かったみたいだ。

「……あはは、ユーリさんは、とてもお顔の事、気にしてるみたいなので、言わないで あげてください」
「……マジみたいだな。ああ 判った。オレはSだが、そんな苛めはしないさ。ユーリには恩もあるしな」

 ミリはそう言って笑っていた。
 ユーリにはあの重症
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