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黒き刃は妖精と共に
【白竜編】 噂
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と一緒に旅の話題が出たときに二人に教えてある。
 そんな僕の経験を踏まえての発言、二人は何も言わず頷いてくれた。
 その後、マスターたちへのお土産と情報収集を踏まえ出店に何度か足を踏み入れたのだが、どうにもドラゴンの話になると居心地の悪そうな顔をする者がほとんどで、答えてくれたとしても素っ気無い様子を装って知らない、といわれるばかりだった。

「やっぱり噂の通りでしたね」
「ああ、やっぱりここの住民から口頭で情報を得るのは難しい、か」
「なによもう、どいつもこいつも話をそらして! 知らないわけがないじゃない」
「シャルル、声が大きいよ」
「だって……」

 結局辺りが暗くなるまでさりげなく情報収集を続けたが結果は変わらずじまいだった。噂が嘘だった、という結論に至ったのならともかく、下手にごまかすせいでむしろさらに疑わしくなっていくと同時に、それを追求しても誰からも答えを得られないという状況がもやもやとした気持ちを増幅させていた。
 僕らが魔導師ギルドの人間であり、僕だけならそれなりに危険な任務についても問題ないことを明かしササナキの住人がなにかやましいことがあるのではないか、といったように脅す方法もある。あれだけあからさまな様子なのだ、多少荒いことをすれば何か得られるものはあるはずだ。
 今までならそうした方法もありだったが、今は子供の前。けして好意的ではない方法は取るべきではないだろう。
 それに、所々で感じる視線にも気を配る必要がある。あまり目立つ方法、目に付く方法は僕だけではなく共に行動しているウェンディちゃんたちにまでなにか危害が及ぶ可能性がある。得られるものがないとしても、この子達にまで危険が及ぶのは避けたい。

「仕方ない、今日はそろそろ宿を取って明日に備えよう。一応マスターは一週間弱くらいなら滞在して調べてきていいって言ってくれたんだし。それに、ウェンディちゃんもそろそろ歩くのきついだろう?」
「うっ……はい。歩けないってほどじゃないですけど……」
「情けないわね、もう」
「ごめんなさい……」
「すぐ謝らない!」
「あー、ほら。見えてきたぞ、今日はあの宿に止まろう、な!」

 基本弱気で腰の低いウェンディちゃんと、強気で自分の意見をハキハキと発言するシャルル。
 性格の正反対な彼女たちの衝突は、ドラゴンの話題になっては凹んで微妙な空気になってしまう僕とウェンディちゃんのやり取りよりよっぽど頻度が多い。
 もちろん喧嘩するようなことはなくすぐ普通に会話する程度なので問題になったことはない。だが、年頃の少女とはこれほど弱気なものなのだろうか。
 閑話休題。
 僕が咄嗟に指差したのは自分の着用している和服と同じ東方の文化を取り込んだ落ち着きのある宿だった。
 ササナキの名に反さず小さな池と笹に飾ら
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