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黒き刃は妖精と共に
【白竜編】 噂
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ヴィが撃退したというウォードッグ。あれからこのあたりには出没しなくなったが、確かあのモンスターの天敵はワイバーンだったはず。もしかしたら関係があるやもしれぬ」

 言われ、そういえばそんなこともあったなと思い出す。
 別にこのギルドに所属するきっかけともなったことを忘れていたわけではないが、この一週間環境が激変したせいでど忘れしていたのだ。
 マスターの言うとおり、あれからウォードッグによる被害は出ていない。近隣の村などに赴いたさいにも一時期おびえる日々が続いたが一週間前から目撃報告すらないとか。
 しかし、個体数から考えればあれは群れ二つ程度。もしドラゴンの招待がワイバーンだとしたらその影響で他の群れもこちらに向かって降りてくるかもしれない。

「もちろん、あくまで気になるだけ。関連性があり、もし戦闘になるようであれば気をつけるよう……それだけにすぎん。シュヴィ、おぬしの力を信用しないわけではないが……」
「わかっています。先日は仕方なかったとはいえ、ウェンディちゃんもまだ子供。あまり刺激の強い光景は見せたくないのは僕も同意します」
「マスター、それにクライスさんまで……。私そんなに子供じゃ」
「子供はみんなそう言うのよ、ウェンディ」
「うう……」

 それを言うならお前はどうなんだシャルル、などという感想を持たないでもなかったが、動物は人間と歳の取り方が違うというし一応黙っておく。
 そんなやり取りも挟みながら、マスター、及び数名の仲間たちに事情を話し予定を決定する頃には少々遅い時間となっており、ウェンディちゃんのあくびをきっかけに、そろそろいいだろうと話はまとまった。
 よし、と。明日の畑仕事や織物などの販売に一緒に行く予定だった、初日以降いろいろ助けてもらっているぺテルさんや他の仲間たちを見渡し、改めて予定を確認する。

「ではマスター。お言葉に甘えての明日の正午前に発とう思います、ウェンディちゃんにシャルルもそれでいいんだよな?」
「はい、ササナキは泊まるところもあるそうなので持ち物は着替えくらいですし準備もそんなにかからないと思います」
「私も大丈夫、それこそ服くらいしかないもの」
「了解。僕も旅をしていた身、その辺は大丈夫だ。あー、とはいえぺテルさんたちには悪いな。明日も他の町に織物とかを運ぶ予定だったのに」
「大丈夫。あなたよりは多少頼りないけど、他の力自慢に頼むから。あなたはウェンディのことを頼むわね」
「もちろん、そこは心配しなくても大丈夫。護衛の仕事をしたことは少なくない」

 彼女が僕の希望となったように、僕も彼女に希望を与える恩返しをする。それが僕がここにいる理由の一つでもあるのだ。
 大げさですよ、と困ったように笑うウェンディちゃんと、そうじゃないと困るわよ、と僕を指差すシャルル。
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