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黒き刃は妖精と共に
【白竜編】 噂
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バーンは、竜のような絶対存在に見えたのかもしれない。
 ワイバーンとの戦闘経験はあるが、どれも楽勝ではないが苦戦はしない、程度のものだった。もちろんそれは僕がドラゴンをも討ち滅ぼせるといわれる滅竜魔法の使い手であったからで、通常のギルドへの依頼があった場合はそれなりの依頼料が発生する大規模なものとなるらしい。巨体である、それだけでも人にしてみれば十分な脅威であり、畏怖の対象なのだ。
 故に、僕がドラゴンの情報だーといわれていった先には高確率で実際はワイバーンでした、という落ちが多い。

「いやいや、これはマジな噂だって思うよ。なんてったってその白いドラゴンは魔法を使ったって話だ」
「魔法を?」
「そう、何でも森の一部を一瞬で雪景色に変えちまったらしい」

 魔法を使用するワイバーン。確かに聞いたことの無い話だった。
 ワイバーン種はさまざまなものが存在し、ワイバーンという同じ種族でありながら住んでいる地域にも大きな差が出るほどだ。暑いところが好きな種類、寒いところが好きな種類、水辺を好む種類、たとえを出せばきりがない。
 そして、大体彼らは好んだ地域に類似した能力を持っていることが多い。
 ブレスだったり、屈強な外皮だったり、熱に強い寒さに強い。中には主要都市の騎士が着込む鎧の素材として使用されるほどの種までいる。
 だが、あくまでそれは能力であって魔法ではない。ワイバーンは魔法を使う種族ではないのだ。

「それが魔法であるという確証は?」
「魔方陣の展開、それとその旅人さんも魔法を感じ取れる程度には魔力を持ってたらしい。並みの魔力じゃなかったそうだ。俺の馬車に会ったのはそこから逃げ帰ってきたときらしいからな」
「足の数とか、詳しい大きさとかは話していませんでしたか? その旅人さん」
「逃げるのに必死だったらしいからねぇ、そこまで詳しくは見ていられなかったそうだよ。折角遠出してきたのに、ってぼやいてたよ」

 うーむ。
 巨大な体躯、だが厳密な容姿までは不明、見たのも一瞬。
 これだけならガセネタと決定づけて無視しても良かったが、魔法という単語には少々気になるものがある。
 魔法を使う巨体。バルカン(巨大なサルのような容姿をしたモンスター)など、魔法を使うモンスターは存在してはいるが、決してその数は多くない。
 人間ですら魔法を使えるというのは特別に分類される。そんな力を持つモンスター、それが危険か危険でないかなどいうまでもない。もちろん友好的なモンスターも存在しているので一概には言えないが。
 もしそのドラゴンの正体がワイバーンだったとして、それでも魔法を使うのならばそれだけでも見る価値はあるかもしれない。
 ウェンディちゃんは……

「…………」

 考え込んでいるようだ。が、どこかそわそわしてい
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