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黒き刃は妖精と共に
【白竜編】 噂
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くのか、といった疑問の声。シャルルはそういえばうっかりしていた、という焦りの声。
 化猫の宿では僕たちは一応同じ屋根の元暮らしている。
 とはいえそれは長屋で複数の部屋に分かれており、食事時などはともかく決してプライベートや寝室まで同じというわけではない。
 思いついたことその二。子供とはいえ、女の子だ。男性と同じ部屋というものに抵抗を感じる可能性もある。

「んー、同じお部屋で大丈夫ですよ? クライスさんですし」
「いいのか?」
「はい」

 予想に反しなんでもない、というようにうなずくウェンディちゃん。
 クライスさんですし、とはいどういうことだろうか。同じドラゴンスレイヤーとして信用してくれているということか、それとも僕が気にしすぎなのか。シャルルがいるから、という可能性もある。もしくは普段大人ばかりのギルドに身を置いているおかげで他人と過ごす、という状況にあまり抵抗がないのか。
 なんにせよ、本人が気にしていないようなら問題はない。別に部屋を複数取るくらいの所持金はあったが、一部屋でいいならそれに越したことはない。浮いたお金でお土産を多めに買うのもいいだろう。
 ……いや、まだ問題はあった。
 保護者的存在であるシャルルだ。彼女も反応を見るに僕と同じように気にしている様子。
 唸るシャルル。しかしすぐに息を吐いて首を振った。

「ウェンディが気にしないなら構わないわ。この子と同じ過去を持ってるあなたのことを信用してるから」

 どちらかというと釘をさすような言い方だったが、同じく問題ないらしい。
 自分で提案したとはいえ同室であることに許可をもらえたことは幸いだ。
 情報収集中に感じたあの視線。ここの妙な雰囲気。
 一応目立たないよう行動したつもりだが、よく考えればシャルルがすでに目立っているし、ササナキの住人がドラゴンに関連した話題を探っているものがいたら報告するように言われている可能性もある。
 もちろん僕の考えすぎですべては妄想で終わる可能性もあるのだが、どちらにせよドラゴンの噂があるところにあるのはあっけない結末あるいは……何者かの陰謀であることも少なくないのだから。
 夜、なにかあった場合など同じ部屋であるほうが対処がしやすいのは道理だ。

「了解。あ、すいません。じゃあその湯船つきの部屋でお願いします。とりあえず一泊で」
「ありがとうございます。お食事はどうなさいますか? 一泊でしたら夕食と朝食がご用意できますが」
「じゃあ、お願いします」
「かしこまりました。ではお値段のほうはこちらになります」

 …………。

「どうかしましたか? クライスさん」
「い、いや。なんでもないよ。すいません、これでお願いします」

 秘湯ササナキ。その雰囲気がどうであれ結構いい値段、す
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