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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
炎夏と暗幕
第百二十幕「重力に引かれたこころ」
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ックによると少々心拍が早いようだ。緊張かな』

 お姫様とは、船の主であり(他人曰く)気が強い貴族のセシリアの、チーム内での仇名のようなものだ。計画の要でもありIS関連ではリーダーシップさえ取っていた彼女に相応しいと言えば相応しい。時折容赦なく飛ばした叱咤激励に仰々しく挨拶をしていた男性連中を思い出させる。

「まさか。楽しみでしょうがないのですよ……宇宙が。この胸のときめきは、例え何度深呼吸しようと抑える事は出来ませんわ?」
『きゃー!お姉さま格好いい〜〜〜!!』
『あ、こら。勝手に通信に割り込んじゃ駄目だろ?ミス・ミネユキ!』
「ちょっと待ちなさいコラ」

 なんか今聞こえてはいけない声と聞こえてはいけない名前が耳に入ってきた。
 いやいやまさか。よりにもよってこんな所に居る筈はない。ないない。
 ない筈なのだが、最近の周辺では起こりそうにないことばかり発生するのである。

『あ、お姉さま〜〜!!つららですよ、つ・ら・ら!!お姉さまにはああ言われましたけど、やっぱりお姉さまの偉業を間近で見たかったから来ちゃいました〜!』

 学園で最もセシリアの頭痛を加速させる金魚のお粗相的な何か、峰雪つららのハイテンションな声を、間違えようはずもなかった。セシリアは一つ大きなため息をつき――

「管制。部外者ですのでつまみ出しなさい」
『ええっ!?ひ、ひどい!!せっかく連合王国本土くんだりまでやって来たのに!!というか、部外者じゃありませんから!!』
『ああ、お姫様は知らないかもしれないが、彼女は『クイーン・メアリ号』の開発に携わった企業の一つ、「最上重工」からの正式なお客さんだ。ジャパンの技術力なしには今月中の打ち上げは無理だったんでな』
「初耳なのですが!?」

 セシリアだって今回の打ち上げ計画の中枢を担っている筈なのに、全然知らなかった。というか最上重工はどんだけ手広く商売をやっているのだろうか。IS産業としては新参だが、案外宇宙性やスペースシャトルの部品くらいは作っていたのかもしれない。
 通信先からは誇らしげな少女の笑い声が響き、ちょっとだけイラっとする。

『ふっふっふっ……お姉さまを驚かせようと思って今まで黙っていたのです!作戦成功です!コンプリートです!!』
「帰ってきたらオシオキですわ。お尻百叩きくらいの覚悟はしておきなさい」
『フギャー!?ちょっと驚かせようとしただけなのにぃぃぃーーーーっ!!』
『はっはっはっ!国際交友でもお姫様はお姫様だな!』

 他人より下に立つことを良しとしない性格超強気の彼女が他国でも他人を尻に敷いている事が判明した所で、雑談は打ち切られた。

『さて、他愛もない会話で少しはバイタルも落ち着いたようだ。ミス・ミネユキ?ここからは本格的な打ち上げ段階に入るから
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