放浪剣士
終焔の魔女T
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なの」
振り向きもせず、歩を進めながら彼女は問いかけてきた。
もちろん―――。
答えは決まりきっていた。
「あなたもどうせ、すぐにいなくなってしまうのでしょうけど」
あなたも―――。
どうやらこの申し出をしたのは私が初めてでは無いらしい。
「すぐに後悔すると思うわよ。私についてきたことを」
そう彼女が言った、その時だった。
左右の茂みがざわつき、一人、二人、三人―――。
小汚ない衣服を身に纏った屈強な男たちが次々と現れ、私達の行く手を遮った。
命がおしければ―――。
身ぐるみを―――。
金を―――。
常套句だ。
言うまでもない、山賊の集団。
当然だ。
こんな人気のない山道で何事もなく無事に通れるはずもない。
私は溜め息をつくと、腰の剣へと手をかける。
なんということもない。
たかだか山賊。
ろくに剣術もなにも知らない烏合の衆だ。
「見てて」
剣を抜こうとした私を彼女は止めた。
静かに、彼女は山賊へと歩み寄る。
その足取りには躊躇いも恐怖もない。
ただ、何事もないかのように。
その瞬間だった。
まばゆい閃光と熱風。
私は不意のそれに、思わず目を背ける。
「これでわかったでしょう」
その言葉に、眩んだ目で彼女を―――。
その先の山賊の群れを見ると。
居ないのだ。
山賊の姿はどこにもなく、そこに居るのは彼女をただ一人。
彼女の前方には、黒い焦げ跡のみ。
まさか―――。
私が口を開く前に、彼女は言いはなつ。
「私は魔女よ」
その一言で全てを悟った。
どうしてこんなにも彼女に惹かれたのか。
彼女の放つ不思議な雰囲気はなんだったのか。
そして―――。
私のするべき事を。
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