暁 〜小説投稿サイト〜
White Clover
放浪剣士
終焔の魔女T
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
なの」

振り向きもせず、歩を進めながら彼女は問いかけてきた。

もちろん―――。

答えは決まりきっていた。

「あなたもどうせ、すぐにいなくなってしまうのでしょうけど」

あなたも―――。

どうやらこの申し出をしたのは私が初めてでは無いらしい。

「すぐに後悔すると思うわよ。私についてきたことを」

そう彼女が言った、その時だった。

左右の茂みがざわつき、一人、二人、三人―――。

小汚ない衣服を身に纏った屈強な男たちが次々と現れ、私達の行く手を遮った。

命がおしければ―――。

身ぐるみを―――。

金を―――。

常套句だ。
言うまでもない、山賊の集団。

当然だ。
こんな人気のない山道で何事もなく無事に通れるはずもない。

私は溜め息をつくと、腰の剣へと手をかける。

なんということもない。
たかだか山賊。
ろくに剣術もなにも知らない烏合の衆だ。

「見てて」

剣を抜こうとした私を彼女は止めた。

静かに、彼女は山賊へと歩み寄る。
その足取りには躊躇いも恐怖もない。

ただ、何事もないかのように。

その瞬間だった。

まばゆい閃光と熱風。

私は不意のそれに、思わず目を背ける。

「これでわかったでしょう」

その言葉に、眩んだ目で彼女を―――。
その先の山賊の群れを見ると。

居ないのだ。

山賊の姿はどこにもなく、そこに居るのは彼女をただ一人。

彼女の前方には、黒い焦げ跡のみ。

まさか―――。

私が口を開く前に、彼女は言いはなつ。

「私は魔女よ」

その一言で全てを悟った。

どうしてこんなにも彼女に惹かれたのか。

彼女の放つ不思議な雰囲気はなんだったのか。

そして―――。

私のするべき事を。



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ