響ノ章
昏睡
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「でも、提督は?」
「提督は意識がある。だがお前が提督を見に行く暇はないぞ。そいつは気絶しているということは最低でも脳震盪。他にも何か併発している可能性は否定出来ない。早くしろ。勿論提督も運べる数の人員を呼ぶんだ」
私はその言葉に頷いて、医師がいる病院まで駆けた。怪我人二人を姫の元に置いて行く、そんな事態になってしまっていたと反省するのは、病院に二人を担ぎ込んだ後だった。
私がその日、警備課から開放されたのは日付を超えた後だった。提督の負傷及び艦娘一名の外傷による気絶。私はそれの事情聴取だった。提督は意識があったので私への口裏合わせ等をどさくさ紛れに指示してくれたのでそれに従った。姫を知る隊長も取り調べの場に顔を出したので、取り調べ自体は直ぐに終わった。余り早く返しても不審がられるということで、中で待たされる事となったのだ。
私はその日、もう夜が遅いということでそのまま天幕へと向かった。中では既に不知火が寝ており、私は音を立てぬよう注意して寝袋に入り、就寝した。
翌日、朝一番に提督執務室へと向かう。提督は既に退院し其処に居た。
「提督、お怪我はもう大丈夫なのですか」
「ああ。後頭部をぶつけただけだからな。それより三日月だ。今朝意識を取り戻したが、記憶障害が見られるらしい。事件当時の事は覚えていない、と。病態の悪化は殆ど懸念しなくて良いようだが、姫の存在を下手に思い出されて何か言われると困る」
「そういえば、昨夜のあれは」
「三日月が、私に夕食を持ってきてくれたようだった。執務室に私はいなかったし、姫の部屋から声がするからと、恐らくあの部屋に入ってきたのだろう。そこで、姫を見つけた。あんまりも衝撃的だったのだろう、私のことは見えてないように姫へと走り寄った。私は咄嗟に進路上に立ったが、突っ込まれて体勢を崩してな、そのまま床へ頭をぶつけた、という具合だ」
三日月の激昂。それは、考えられなかった話ではない。その場で鹵獲し、また十分な冷静さも持つ第四艦隊と木曾。重巡洋艦を楽にするため介錯を行った警備隊隊長。そうして、地上戦で空母を殺し、人を殺したかのようだと思った私。姫を知るものは、誰しもが姫に冷静さを持って会った。だが、普通の艦娘からしたら……姫は、深海棲鬼とは、殺し合う敵。先日柏木提督を殺した奴ら、そういう認識なのだろう。
「予測は出来たが、認識も対策も甘かった。多忙は言い訳にならん。以降はこの手の問題を起こさないようにしなければな」
「三日月は、どういった処分になるのです」
「今回の件は、三日月には殆ど責任が行かない。問題は姫と会った事だ。思い出した時、見間違いで済まされんだろう。今は病室前で伊勢達が交代で見張っているが、どうしたものか」
第四艦隊は姫と三日月どちらも気にかけなくてはいけないらしい。皆復
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