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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんなゼゼーナンの怪はどうだろ
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ることが画面に文字として表示されるというアレだ。一時期犬や猫の言葉が分かる機械とかで流行ったアレの進化版と言えるだろう。

 では、レッツトライ!スイッチをポチっとな。

「ゼゼーナン。俺は誰だい?」

 ゼゼーナンがキュッキュッと不思議な鳴き声を上げる。

 『ごえもん』とカエリンガルに文字が表示され、周囲が色めきたった。
 ゼゼーナンは何と俺のことをしっかり認識していたのだ。これは世紀の発見である。カエルが人の顔を覚えるなんて聞いたことがないし。

「じゃあこっちの水色の人は?」
『たてなし』
「おお、顔覚えられてるよ楯無さん」
「う………うん。わかった。わかったけど……なんかゼゼーナンまだなにか言ってるわよ?」

 液晶モニタに更なる文字が吐きだされていく。


『ごえもん』


『たてなし』


『たすけて』


「………………………………故障、かな」
「…………………………あの束博士が?」


『ぼくは、かえるじゃない』


『もどりたい』


『たすけて』


『つらい、くるしい』


『ごめんなさい』


『にんげんに』


『もどりたい』


 ゼゼーナンは、ただ二人を見つめ続ける。
 キュッキュッと不思議な鳴き声を上げて、ただ二人を見つめ続けていた。

「……………………イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?」

 その日、楯無さんの絶叫が学校に響き渡ったのです……。

 その後、ゼゼーナンを調べたり束博士がリンカーを調べたりしたけど結局何の成果も得られず、ゼゼーナンのメッセージは何だったのか……そもそもあのメッセージは本当にゼゼーナンの物だったのかさえも判明することなく、その日の楯無さんの恐怖もまた払拭されることはなかった。


 後に更識の調査で判明したことなのだが――

 昔、俺がゼゼーナンを拾った温泉ではその昔、死人が出たことがあるらしい。

 どこからか入り込んで天井に張り付いたカエルに石鹸やお湯を投げつけて落とそうとした悪戯好きな少年――彼は、悪戯に夢中になるあまり、自分で投げた石鹸を踏んづけて足を滑らせ、頭を強く打って死んでしまったそうだ。以来、カエルはその温泉に姿を現さなくなったという。

 もう30年も前の話だ。当時は「蛙神の祟り」などと呼ばれて恐れられたが、事件は時が経つにつれて風化。今では地元住民でも覚えている人は殆どいなかったようだ。




 = =



 その日の夜――楯無は眠ることが出来ず、何故かその足は自然と生徒会室へ向かっていた。
 当然、部屋の中には誰もいない――いや、違う。

「ゼゼーナン……」

 ゼゼーナン
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