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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんな未来もありえたかもしれない(完)
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うだ、私は強くて格好いいゴエモンの家族だ!!」

 私はゴエモンの肩に手をかけて顔を近づけた。
 びっくりした様子のゴエモンは一瞬どうしようかとしどろもどろになったが、私の顔が近づくとちょっと涙目になりながらも覚悟を決めたように目をつぶった。……いや、そういうつもりで掴んだんじゃないんだが。
 なんか、女の子みたいな反応だな――と愛おしくなってしまう。
 愛おしいゴエモン。その反応は、私を受け入れたと考えて良いのか。

「いいのか、お前に求めてしまうんだぞ?」
「……お、俺だって求めてるよ!」
「オウカ、お前は私がゴエモンと一緒に居てもいいのか?」
「うん……一人じゃ守りきれる自信ないし、愛も負担もはんぶんこで手を打つよ!……後でちゃんと返してよね?」

 そういえば告白は済ませたんだったか。その上で私もゴエモンを愛していいと決めたのか。
 どこで男をはんぶんこなんて覚えたんだか、と苦笑いするが、案外それもオウカらしい。
 改めて向かい合うと、相変わらずゴエモンは真赤なままだった。悪戯心が湧いて、耳元でささやく。

「私はワガママだぞ。家族は家族でも、お前の隣にいないと気が済まないんだ。オウカも纏めて守ってやるから………私がお前の花嫁ってやつになってもいいか?」
「あ……俺が頼もうと思ってたのにぃ……」
「ぷっ……なんだそれ」

 あんまりにも情けない返事がまた可笑しくて――でも、本当の意味で家族になるという、叶わないと思っていた「夢」が叶って――

「んっ……」

 私は、静かにゴエモンと唇を重ねた。

 甘酸っぱい味はしなかったが、何だか癖になりそうな暖かさだった。



 あの日の私よ。暗い実験室の隅で、いもしない家族を求めて地を這っていた私よ。

 未来の私はこんなにも頼りなくて暖かい家族を手に入れたぞ。

 だからお前も、いつか絶対幸せな世界に行ける。

 早く現在へ昇って来い、昔の私。


 
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