例えばこんな未来もありえたかもしれない(完)
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て、いつだって俺の味方になってくれる上にこんな無茶を聞いてくれる人は………一人しか思いつかない。
俺は精一杯肺に空気を溜めこみ、一気に解放した。
「ジェェェェーーーーーンッ!!」
「な……何だゴエモンッ!!」
この騒がしい会場でも俺達の耳に届くほどのハイパーボイスが俺に届く。
「オウカを傷付けたくないんだ!でも俺じゃ力が足りない!だから――」
今まで、本当に困ってることなんて誰にも言えなかった。
でも、彼女なら。
俺の秘密を解き明かして尚、不器用に受け入れてくれた彼女だから。
俺は、この卑怯な一言を言えるよ。
「助けて、ジェーンッ!!反則負けになっていいから助けてッ!!」
「もっと早く私を頼ってろ、バカぁッ!!」
瞬間――アリーナ内にバリアを粉砕するほどの轟音を振りまきながら、美しくも恐ろしき白狼が飛び込んだ。
= =
赤、紅、朱。
力の赤、熱の赤、炎の赤、太陽の赤――情熱の赤。
白、純、潔。
正義の白。無罪の白。空白の白――純粋の白。
混ざる、混ざる。想いが混ざる。
ゴエモンの声を聞いた時、もうジェーンは観客席からISを展開して飛び立っていた。
ゴエモンが助けを求めた時、もうジェーンは『白狼』を躊躇いなく発動させた。
ゴエモンの期待に応えるため――ジェーンは何もかもの常識と立場をかなぐり捨ててバリアをぶち抜いた。
『す、すごい……すごいよママ!!エネルギー出力が400%を越えてるのに、完全に掌握してる!!こんなに激しいのに、気持ちいい……これがママの純情なんだ。パパへの想いなんだ!!』
「ああ、そうだ。この馬鹿……助けを求めるのが遅すぎるんだよ!やっと、ようやく、ついに!私にお前を助けさせてくれるんだな!?」
力が漲る。湯水のように心の奥底から湧き出る感情、愛おしさと歓喜が全身を支配する。
身体を蝕むほどのバリアエネルギーの奔流が、四肢の隅々まで馴染み、体の一部になるよう。
そして、思いの源は自分でも呆れるほど単純で嬉しいこと。
ゴエモンが、頼ってくれた。
「………ゴエモン君がこんな手段を使ったのも驚きだけど、こんな滅茶苦茶な頼みに君がこんなに早く応えるとは俺も予想外だったよ、ジェーン」
『だが相手が一機だろうが二機だろうが、我等の優位は揺るがな――』
「黙れ小娘が。ピーチクパーチク黙って聞いてりゃさっきからオウカにあることないことグチャグチャくっちゃべりやがって!!」
『なっ――』
「いいか!耳をかっぽじってよく聞きやがれ!!」
人生でここまでハイになったのは、オウカとの喧嘩以来か。
でも、喧嘩した私だからこそ、分かることがある。
オウカの
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