暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第173話 乙女?の怒り
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て『利用できるものは何でも利用すべし』とある。バレた暁には、人生の中でも最大クラスの汚点になりかねないが、今はリュウキとも出会っていないし、同じ境遇だったら、口裏合わせだって出来るのだ。
……流石に、リュウキが同じようなことをしてるとは思えないが。
兎も角、このまま話を止めたままでは、相手に不審に思われる。だから、彼女には悪いけどこのまま誤解したままでいてもらおうと、頭の中で決定、可決した。
――……この間の所要時間1.5秒。
「はい、初めてなんです。何処か安い武器屋さんと、あと総督府、っていうところに行きたいんですが……」
比べたら、やや低くハスキーボイスだろうと、自分の耳で聞いてもそう思う。自身の声色を変えた声を評価している間に、目の前の彼女は、小さく首をかしげた。
「総督府? 何しに行くの?」
「あの……、もうすぐあるっていう、バトルロイヤルイベントのエントリーに。あ、明日らしいので、下見に行こうかと……」
それを聞いた途端に、彼女の大きな目がぱちくりと丸くなる。
「え、……ええっと、今日ゲームを始めたんだよね? その、イベントに出なきゃいけないことは全然ないけど、ちょっとステータスが足りないかも……」
そう、初心者では、遠まわしに無理だと忠告しようとしてくれたのだ。初心者じゃなければ、道を聞くようなことはしないし、先ほど認めてもいるから。
だけど、キリトは、声色に注意しつつ答える。
「あ、初期キャラじゃないんです。そういうわけじゃなくって、これはコンバートで、他のゲームから……」
「へぇ、そうなんだ」
女の子の藍色の目がきらりと輝いた。微笑みから、完全な笑顔になってきく。
「聞いていい? なんでこんな埃っぽくて、オイル臭いゲームに来ようと思ったの?」
「えっと、それは……、今までずっとファンタジーなゲームばっかりやってたんです。たまにはサイバーっぽいのを遊んでみたいなーって思って。……銃の戦闘とかも興味あったし」
正直、これは嘘ではない。
剣での近接戦闘に特化した自分のスタイルが、この世界でどれくらい通用するのか、と言う事で実際に少々興味があるのだ。
……そして、あの男、リュウキの事もある。
プロが蠢いているこの世界であの男は何処まで登って行けて、自分は何処まで食らいつけるのかも気になるのだ。……万能プレイヤーだと思うし、簡単に順応する姿が簡単に目に浮かぶが。
――……因みにキリトがリュウキに対する評価は、決して間違ってはいない。だが、今回ばかりは軽く見すぎた、と言うべきだったかもしれない。
それをキリトは後々に、身に染みる結果になるのだった。
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