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黒魔術師松本沙耶香  銀怪篇
18部分:第十八章
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「ここからでもね。これで決めるわ」
 右手をポケットから出して悠然と顔の前で動かしはじめた。
「受けなさい、私の魔術」
 爪が紅に変わった。そこに雷が宿っていく。紅の雷が。
「行きなさい、雷達」
 下に手を向ける。まるで剣を突くように。
 するとそこからその紅の雷が放たれた。まるで生き物の様に地面に舞い降りる。
 雷達は無数に分かれて地面を這う。その動きは二人といえどかわしきれるものではなかった。
「うっ!」
「これは・・・・・・!」
「魔力によって意識を持った雷よ」
 沙耶香は言った。
「これをかわせるのは難しいわよね。貴女達でも」
「まさかこんなものを」
「使えるなんて」
「言った筈よ、私は魔術師」
 二人を見下ろして悠然と語る。その下では二人が紅い雷に襲われ次々と傷を負っていた。闇の中に紅い光が無尽に動き回り妖しい光を放っていた。


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