暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第171話 ただの犯罪者
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どの者が驚愕し、中にはやや恐怖もしていた者もいた。

 それなのに、あの男はまるで臆する事なく距離を詰めてきたのだ。あまつさえには、あの銃を撃つと言ったも同然なのに、『今じゃないのか?』とも返した。無知、無力な男だ。と思ったが、あの時は撃つわけにはいかなかったのだ。
 平静を装い、その場から姿を消す事は出来たが……、どうしても屈辱感は生まれた。


――この騒動もあの男だというのか?


 老紳士(オ-ルド・ジェントルマン)と言う渾名は、名乗っていた訳ではなく、あの場にいたユーザーのだれかがその情報を発信し、その容姿、仕草から発展し、今の形に鳴っていたのだ。

「……面白い」

 明らかな挑発だが、それに屈すると思われているのならば、心外だ。

 死銃は伝説となる存在なのだから。

 これまでに殺したのは2人。そして、次にも2人、いや3人。そこまでいけたらならば、死銃の力を信じない者はいなくなるだろう。
 注目を集めれば、現在のアカウントは流石にもう使えなくなるだろうけれど、構うことはない。死銃、あの銃があれば、新しい《死銃》が荒野に降り立つのは容易なのだから。

 そう、力はある。

 死をもたらす事が出来る力が。それを知らしめてやろう。

 先ほど書き込まれていた公開断罪、と言うのが何なのかは判りきっている。


 間違いなく、もうすぐ開催される《第3回 バレット・オブ・バレッツ》


 あのBoBの注目度は絶大だ。
《MMOストリーム》が放送するリアルタイム中継番組は、GGOだけでなく他のVRMMOのプレイヤーも大勢視聴する。その中で、確かに正体を明かされ、負ける様な事になれば……、確かに断罪だろう。

 だが……、それは逆なのだ。

 死銃が名実ともに最強となり、あの銃を使い伝説となるための幕開けがあの舞台なのだから。



《死銃》の伝説。



 かの呪われたデス・ゲーム《ソードアート・オンライン》が生み出した死者の数には到底及ばないが、あれは単なる狂人が、電子レンジでユーザーの脳を茹で回ったに過ぎない。死銃の力は、そんな低次元ではない。仮想世界で放たれた銃弾が、現実世界での心臓の動きを止める。その秘密を理解出来るものは、《彼》とその半身以外にはない。

 あの男如きに止められる筈がない。止められる訳がない。死銃こそが絶対強者。

 絶対の力――伝説の魔王――最強――最強――最強――……

 そうなる日が待ち遠しい。




――この男は1つ目のミスを犯した事に気づいていない。




 そう、死銃の半身に今回の事を共有しなかった事だ。

 この時、半身である者に今回の事を共有していたのなら……、また違った事が起こったか
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