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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第170話 過去の闇
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――今日は本当に色々とあった。
とても、この様に一言では現せられない程、濃密な時間だったと思える。あの世界ならまだしも、この世界……、現実の世界でそんな時が来るとは思えなかった。
詩乃は、自身が暮らしているアパートに着き、ゆっくりと、コンクリートの階段を上る。2Fに着いて、階段から2つめのドアが、詩乃が一人で暮らすアパートの部屋だ。そして、スカートのポケットから鍵を取り出し、旧式の電子錠に差し込んだ。そして、そこ後小さなパネルから四桁の暗証番号を打ち込んで鍵を捻る。
すると、“がちん”と言う金属音が重く響く。
この暗証番号も鍵も、新たに変えた鍵、暗証番号だ。以前、トモダチ、と思っていたあいつらが使っていた番号と鍵は、あの事件以来即変えたから。また、覚え直すのには、多少面倒だったが状況を考えたら仕方がない。
詩乃はそのまま、施錠確認のアラームを聞きながら、無声音で『ただいま』と呟く。勿論、応じる人はいない。もう、あの時の様な想いは嫌だから、これで良いんだ。
――……1人で。
「っ……」
胸にチクリと何か、針の様なモノが突き刺さった気がした。そして、無意識にそっと視線を下ろし、自分の手を見た。もう、何時以来……だろうか。
誰かに手をつないでもらった事、強く引っ張ってもらった事など。
ずっと、もう自分以外は敵。この街の人間の殆どが敵だと言い聞かせてきた。そして、これまでも、これからもこれで良い。そうずっとと思ってきたのに。
――だけど、今日は何でだろう?
そう思えば思う程、小さいがはっきりと、何かが痛む。
「いやっ……」
詩乃は、自分の身体をそっと両腕で抱いた。否定したい気持ちとこの変な痛みが入り混じってしまっている。もう、二度と後悔しない為に、あの時の様な事にならない様に、と心に刻んだんだ。
だから……。
詩乃は、暫く身体を抱き、痛みと震えを抑える様にした後、ゆっくりと動きスーパーで買ってきた野菜等を冷蔵庫へ収めた。その後、通学鞄を置き、白のマフラーをほどく。コートを脱いでハンガーにかけ、マフラーと共にクローゼットの中へと収納した。
そして、自身の制服にも手をかけ、スカーフを引き抜き、左脇のジッパーも下ろす。
「……」
丁度その時、自身のライティングデスクに視線を向けた。そこに備え付けられている鏡で自分の姿を見る。
今日は確かに色々とあった。
だけど、その中でもあの遠藤達の要求を、脅しを正面から立ち向かえたこと、それが囁かだが、自信につながってきたのだ。確かに助けてくれたと言う事も勿論あるし、感謝もしている。
……その感謝の言葉を、心を伝えきれなかった事が気がかりだけど、間違いなく少し、
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