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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第170話 過去の闇
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ともう1人撃つぞ! 撃つぞォォォ!!!!」
絶叫しながら拳銃を振り回す。
狂人の凶器を向けられた先にいたのは、倒れて動けない詩乃の母親にだった。その光景を見た瞬間、詩乃の意識はたった1つの行動理念だけを意識した。
――わたしが、お母さんと守らなきゃ!
幼児期からずっと、常にそう思い続けてきた詩乃の信念。大切な母親。大好きな母親。儚い少女の様に震えている母親を守らなければならない。意識の全てがその行動を示し、そして身体を動かしたのだ。
「あぁぁ!?」
男は驚愕の声を上げた。
なにが起こった?
男は理解出来ない光景に戸惑いを隠せられなかった。この場で一番小さい幼子が拳銃に掴みかかってきたのだ。無害だと踏んでいた筈なのに、まさかの抵抗に驚き、そして怒り狂った様に詩乃を振り回し、叩きつける様に投げた。
詩乃は、カウンターに背中から叩きつけられ、そして乳歯が2本程抜け、口の中に血の香りが充満した。……が、詩乃は 全く気にしてなかった。興奮した事で、アドレナリンが分泌され、痛みの事など考えられなくしていた。
見ているのはただ一点。
目の前に滑り落ちた黒い拳銃。
それを無我夢中で拾い上げた。幼い彼女にとってその拳銃は重かった。ずしりと両腕に響く金属の重み。だが、持てない事はない。そして、小説、テレビの中でも見ている。それの撃ち方。そして、これを使えば恐ろしい男を止める事ができる。
その途端、奇声をあげながら男が篠に飛びかかり、拳銃から詩乃の手をもぎ離そうとするかの様に、自分の両手で詩乃の両手首をきつく握った。
その行動が本当に良かったのかと言う事は詩乃には判らない。
だが、結果的に、正面から銃と手首を握ったから、丁度銃口を男自身に向けられている状態。向けられた拳銃の事、忘れられる筈がない。
1930年代、つまり90年以上も昔に、ソ連陸軍が《トカレフ・TT33》と言う拳銃を正式に採用し、やがて中国がコピー生産して《五十四式・黒星》と称した。
それが、あの銃の名前。
ぬぐい去る事が出来ない黒く光る悪夢の兵器だ。
詩乃は、握られた時、奪われると思った。だから、引き金を絞ってしまったのだ。男自身、もうすでに発砲しているが、そもそもこの銃には安全装置の無い拳銃だから、と言う理由もあったかもしれない。
引き金
(
トリガー
)
を絞った瞬間、強烈な衝撃が両手から肘、肩へと伝わった。ちゃんとした構えから、発砲しなければ脱臼したりする可能性がある。
反動
(
リコイル
)
の衝撃は、男が強く銃身を握っていたからか、そのエネルギーは分散され、詩乃には比較的に低衝撃で済んだ。
それでも、幼子には強すぎる衝撃であったから、カウンターにまた、肩を打ち付
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