17部分:第十七章
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は待ちきれなくなっていた。
「行くわよ」
「ええ」
背中合わせのまま頷き合って飛ぶ。左右にそれぞれ飛ぶ。
建物の壁を蹴ってまた飛ぶ。そのまま交差する。宙に何かを見たからだ。
「やった!?」
「いえ、これは」
理子が己の爪を見た。そこには血はなかった。
「移し身!?」
「どうやらそうみたいね」
「生憎ね。それは私ではないわ」
そこにあったのは只の影であった。沙耶香の影でしかなかったのだ。
「間違えたのかしら」
「くっ」
「影は一つじゃないわよ」
ここでまた沙耶香は言った。すると今度は複数の影が姿を現わした。
「さあ、今度はどうかしら」
「若しかするとこの中に本当の私がいるかもしれないわよ」
黒い霧の中にさらに濃い黒をした影が複数浮かんでいた。その影それぞれが言葉を発する。それはまるで沙耶香が数人一度に出て来たようであった。
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