暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十三話 収斂
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ュオメデス ラルフ・カールセン



「閣下、如何なさいますか?」
ビューフォート参謀長が幾分不安げに訊ねて来た。
「さて、如何したものかな?」
「ヤン提督が単独で帝国軍と戦闘に入ったという事は無いでしょうか?」
なるほど、それを心配したか。

「可能性は有るが低いだろうな。後退する帝国軍に慌てた様子は無い。ヤン提督が後方に居る事が分かって態勢を整えようとしている、そんなところだろう」
帝国軍が後退している。おそらくはヤン提督の艦隊が帝国軍の哨戒部隊に接触したのだろう。帝国軍は前後からの挟撃を恐れている。艦隊の列が前後に長くなっている事にも不安を感じた様だ。艦隊を集結させている。

用心深いな。こちらは合流しても二個艦隊、帝国軍は六個艦隊。戦力差は圧倒的だが帝国軍は驚くほど慎重だ。俺が帝国軍の指揮官ヴァレンシュタインなら後方の二個艦隊にヤン提督を警戒させ前方の四個艦隊で俺の艦隊を叩く。当然だが俺の艦隊は劣勢になる筈だ。そしてヤン提督は俺を救援しようとするだろう。そのヤン提督の艦隊を後方の二個艦隊で叩く。二個艦隊を各個撃破出来る筈だ。

ヤン提督を警戒しているのか、或いは二正面作戦を嫌ったか。だが悪くない、好都合だ。こちらとしてはフェザーンからビュコック司令長官が戻るまで多少の時間稼ぎが必要だからな。ヴァレンシュタインはこちらの狙いに気付いていないのかな? そうは思えん、となるとフェザーン方面のメルカッツを信頼しているという事か……。

「艦隊を前進させますか?」
「そうだな、前進させよう。但し、ゆっくりとだ」
「はっ」
ビューフォート参謀長が嬉しそうに応えオペレーター達に指示を出す。艦橋に活気が戻った。やはり攻勢を採らねば士気は上がらんな。

問題はこの後だ。戦場は出来ればジャムシード星域がベストだ。上手く行けば前後から俺とヤン提督、側面からビュコック司令長官、三方向から帝国軍を囲める。そうなれば撃破にも時間はかからんだろう。そして態勢を整えフェザーン方面から来る帝国軍の別動隊に対処する。条件は厳しいが不可能ではない。問題はどうやってジャムシードに誘導するかだな。

或いはヤン提督との合流を優先し帝国軍を少しづつジャムシード星域へ誘導するか。こちらの方が現実的では有る。但し、合流すれば帝国軍はこちらに攻撃をかけて来る筈だ。それを凌ぎながらジャムシード星域へ誘導する事になる。果たして自軍の三倍の兵力を有する帝国軍を相手に何処まで耐えられるか……。一つ間違うとこちらが撃破された後ビュコック司令長官が撃破されるという状況になりかねない。

ビュコック司令長官は何処まで戻ったかな。ランテマリオ星域にまで戻っただろうか? そこまで戻れば後はジャムシードまで一直線だ。急げば十日程でジャムシードに到着する。そしてシヴァと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ