ハメツノヒカリ編
ターン32 光の結社とアカデミアー1F−
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時に、たまたま先頭にいた夢想が彼女に固い声で話しかける。にこりともせずに壁に寄りかかり、腕組みをして僕らの前に立ちはだかったのは、天上院明日香。まずいな、彼女の実力はここにいる皆がよく知っている。さっきの高野のように、素早く倒していけるような相手ではない。
「あら、こんな夜中にアポも取らずに人の寮に入り込んで、随分とご挨拶ね夢想。貴方達を斎王様のところには行かせはしないわ」
アカデミアの女王とまで言われる彼女の、そのさすがの気迫を前に気圧されていると、その沈黙を破ってずい、と黒い影が一歩前に出た。彼の名前を呼ぶより前に、何かを決意したような声音で万丈目が静かに口を開く。
「行け、お前ら。天上院君を光の結社に入れたのは俺だ、俺がどうにかする」
「あらあら、誰かと思えば裏切り者の万丈目君じゃないの。嘆かわしいことね、斎王様も貴方のことは評価していらしたのに」
「その結果が今の俺なら、斎王の予知とやらも底が知れるな。もっとも、昔の俺は実際そうだったんだろうが」
明日香の皮肉に間髪入れずの嫌味で返してもう話すことはないとデュエルディスクを構えると、明日香もそれを見てゾッとするような冷たい笑みを浮かべ、特別製と思しき自身の純白のデュエルディスクを起動する。まだためらっている僕らを見かねたように、万丈目がもう1度僕の方へ振り返った。
「さあ行け、お前ら。この通路が一番の近道なだけで、この広い寮には他にも道はある」
「万丈目……やっぱり僕も残って」
「いいから早くしろ!天上院君がここにいるということは、おそらく俺たちの奇襲は筒抜けということだ。だったらこれ以上雑魚が集まってくる前に、なんとかして斎王とのタイマンに持ち込むんだ!」
「でも」
「でももしかしもない!それにな、清明。お前なら俺の気持ちがわかるはずだ」
いきなり何を言い出すんだろうと一瞬黙ると、万丈目はこれまで見たことがないほど真剣な面持ちになった。
「これは師匠の受け売りだがな。惚れた女のために戦うのが、漢の道というものだ。お前が俺の立場なら、俺と同じ道を選ぶはずだ」
そう言われ、今の万丈目を僕に、明日香を夢想に置き換えて想像する。そう考えると、決断は早かった。
「……わかった。皆、こっち!万丈目、勝ったら連絡してよ!」
今来た道を引き返す清明たちをゆっくり見送る暇もなく、万丈目は再び目の前の敵と向かい合った。彼女が他の皆を止めようとしないということは、最初から明日香は万丈目ただ1人を狙い撃つために配置されたのだろう。彼女ならば万丈目を倒すことができると。そこまで察していながら、それでもあえて彼はここに残った。
無論、先ほど言ったように責任を感じているというのもある。恋心も否定はしない。だがもう1つ、彼のプライ
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