第16話 混乱
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近藤も土方も沖田の話をどうやっても信じる事は出来なかった。
土佐の岡田以蔵。人斬り・以蔵が生きていたなど到底信じられる訳もなかった。
確かに死体を見たわけでもない。ただ、会津京都守護隊からの通達であった。
が、あの新撰組1番隊。おそらく、隊の中で最強ともいわれる沖田総司があれだけ怯えているわけであるのだから、信じがたい。
「なぁ、歳さん。もし、もしだよ、総司の言うように岡田以蔵が生きていたとしたら勝てるかい?」
近藤は土方の顔を見ずに尋ねた。
「それは愚問というものだよ、近藤さん。生前の岡田なら総司だけでも十分だろう」
土方の意見に近藤は腕を組み目を閉じて頷いた。
「が、もし、総司がいうように生きていて、怪物となっていたとしたなら新撰組全滅覚悟でことに当たらねばならないだろうよ」
土方はさらりと言ってのけた。
「あっ、もしかして、薩摩の中村が敗走したって相手はもしかして、・・・・・・・」
近藤は思い出したように大声を出した。
「おそらく、岡田かもな」
土方は近藤の言葉に続いた。
「おい、歳さん。今日の見回りは1番隊とどこだい?」
「確か、斉藤君のところだったと思うが」
近藤と土方は顔を見合わせた。その時、屯所の入り口が騒がしくなっていた。
「どうしたのだ?」
騒がしく走り回っている隊員に近藤は呼び止めて聞いた。
「3番隊がやられたようです」
隊員の顔が青ざめていた。
「なんだと!!」
近藤も隊員の後を追うように入り口へ走り出した。
(斉藤までやられたか)
土方も近藤の後を追うように走り出した。
新撰組屯所は負傷者とそれを助けようとして集まった隊員であふれかえっていた。
その中に隊員を指示する斉藤一の姿があった。
「斉藤君、無事か!!」
近藤は大声で斉藤を呼んだ。
「局長!!」
斉藤は隊員に指示をした後近藤のもとへ走ってきた。
「どうした?誰にやられた?」
「そ、それが」
斉藤は血の気を失い青ざめていた。
「岡田以蔵か?」
遅れて到着してきた土方が斉藤に聞いた。
「な、なぜ、それを?」
斉藤は近藤と土方の顔を交互に見つめた。
「やはり」
「総司もやられたよ。岡田に」
「なんですって!!沖田君まで」
斉藤は信じられないといった感じ目を見開いた。
「近藤さん、信じがたいがどうやら岡田以蔵は本当に化け物なって生き返ったようだ」
「あぁ、そうだな」
近藤の顔も青ざめていた。
「総司と斉藤君の話を聴取したうえで対策を考えよう」
冷静に土方は近藤に言った。
「そうしよう」
近藤と土方は奥へ消えて行った。
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