神と悪魔と人間と
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ませてしまった皮肉。
俺には滑稽にしか見えないが。
それでもと願い続ける背中は、『美しい』というより『可愛らしい』。
「お前の望みは俺が叶えてやる。お前は女神であれば良い。だが」
「レ……ッ……!」
丸めた体を抱きしめて耳元に頬ずる。
驚いて振り向いた顔を持ち上げ、触れるだけの口付けを頬に落とす。
青ざめた表情に、笑いが込み上げた。
「忘れるな、アリア。次に姿を隠せばお前の意思を殺す。俺の可愛い小鳥。どこへ行こうと必ず捕まえる。大切なものを護りたいなら、俺を裏切るな」
「……解っています。離して」
平静を装う無表情の裏に、どれだけの激情を隠しているのか。
本当に、健気で愚直で……救いようがない、孤独な女。
「もう少し、このままで」
白百合の甘い香りがする髪に顔を寄せて、目蓋を閉じる。
美しい、偽りの創造神アリア。
それを求めて旅立った、愚かな二人の男。
覚醒したもう一人の女神。
さあ。今少しの時間を、どうやって遊ぼうか?
教会の敷地の片隅で、女の子が膝を抱え、声を殺して泣いている。
「どうしたのですか?」
肩に付く長さの茶髪を両耳の後ろでまとめた、五歳くらいの女の子が。
黒い目を潤ませて、しゃくり上げながら自分を見上げた。
「お母 さん、が、家 出て 行っちゃ た、の」
「……家を?」
流れる涙を、何度となく手で拭ったのだろう。
目元が赤く腫れていて、見るからに痛々しい。
「お母さん……、お父さんの、お母さん と、信じる、神さま……、が、 違う……、から……っ もう、ついて 行けない って」
「……そう……」
崇拝対象の相違は、時として生活習慣にも大きな影響を与える。
それを納得した上で交際しても、幼少期に植え付けられた物事の捉え方や発想の根幹は、容易に変えられるものではないし。
折り合わない部分は、どうしても生まれてしまう。
どちらの考え方も、双方にとっては、己の人生を形作る要素の一つ。
その在り方を、見ず知らずの他人が責めるのは筋違いだと思うが。
幼い子供にまで押し付けなければいけない思想など。
大切にする必要があるのだろうか?
この子はただ、大好きな家族と一緒に居たかっただけ。
一緒に食事をして、会話をして、遊んで。
寝起きを共にする以上に、望むものなどなかったろうに。
「…………」
掛ける言葉を探してみたけど、この子の心を埋めるものは見つからない。
欠けた愛情は代わりが利くものではないし。
その場限りの慰めや説教で誤魔化しても無意味だ。
この子が必要としている相手に、手を振り払われてしまったのだから。
今のこの子に、
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