10部分:第十章
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第十章
「さて」
店を出てCDを片手に持って呟く。もう一方の手はズボンのポケットの中だ。
「これは後でじっくりと聴いてみるとして」
さっきのことが頭の中に残っていた。
「あれは。間違いないわね」
そこに確実に見つけたのだ。彼女だけがわかることであろうが。
「あの二人、どうやら曲に入れているわね。面白いことをしてくれるわね」
そこからあれこれと考えながら場所を移動していた。とりあえずまだ亜美と会う時間はまだであった。原宿へ向かうことにしたのであった。目当てはもう決まっていた。
あの二人である。事前の調査の為でもある。それでわざわざあまり足を運ばない原宿まで来たのである。
街には若者が溢れ返っている。奇抜と言っていいファッションの女の子も多い。沙耶香は彼女達の間を通り抜けながら路上ライブが行われている場所に向かった。
そこではいつものようにパフォーマーやインディーズのバンドが演奏を行っている。その周りを女の子達が取り囲んで黄色い声を送っていた。
「ここは相変わらずね」
沙耶香ははしゃぐ女の子達を見て呟いた。
「何か。女の子達は変わらないわね」
彼女達を見回しながらシルバーデビルを探す。だが二人はいなかった。
「他の仕事かしら」
そう思った時に女の子達の声が聞こえてきた。
「今日はシルバーデビルはいないのね」
「何でもオフらしいわよ」
「お休みなので」
それを聞いて何故いないのか納得した。
「成程ね。だから」
沙耶香も納得した。
「けれどあの二人オフでも関係ないじゃない」
すぐにこうした言葉が出て来た。
「オフならオフでここにいるじゃない」
「そうだけれど今日はいないみたいよ」
女の子達は沙耶香が聴いているとも知らず話している。
「じゃあ何処かしら」
「それはね」
「ちょっと待って」
その女の子達に声をかけた。
「あれ、お姉さん」
「誰ですか?」
「ちょっとシルバーデビルについて聞きたいことがあるのよ」
そう女の子達に言った。見れば二人共中々可愛い。少なくとも沙耶香の趣味の範疇だ。
「シルバーデビルにですか?」
「ええ。よかったらね」
女の子達の目を覗き込んで言う。
「シルバーデビルについて。色々と教えてくれないかしら」
目を覗き込みながら口元だけで笑う。
「何処か静かな場所でね」
「静かな場所で」
「ええ、三人で。いいかしら」
「それは・・・・・・」
「あら、断るつもりかしら」
無意識のうちに断ろうとするのを察して逃げ道を塞いできた。
「折角お願いしているのに。人のお願いを断るのはやっぱり」
「わかりました」
女の子達はまるで魔術にかかったかの様に頷いた。沙耶香は魔術は仕掛けなかったがその声と目で女の子達を篭絡したの
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