風の行く先へ
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時は既に真夜中。
眩しい月光が降り積もった雪に反射して、木々に囲まれた山奥を明るく浮かび上がらせる。
視界の中心には蝋燭の灯りが洩れる平屋の木造一戸建て。雪が薄く貼り付いたガラス窓の内側で、数人分の人影がゆらゆらと揺れ動く。
気配を押し殺して玄関に近付けば、くぐもった女性の悲鳴と男達の下品な言葉の不協和音が耳を突いた。
次は俺……まだまだ寝るには早い……。
どうやら最低最悪な人種が集まって、たった一人の女性に下劣極まりない行為を強要してるらしい。家具が動く音はしない。床に組み敷かれてるのか？ 絶え絶えだった女性の悲鳴が切迫したものに変わっていく。
壁に凭れて剣を構える私の横で、仲間が扉の取っ手を慎重に掴む。正面から他の仲間が配置完了の合図を送ってきた。突入の瞬間を慎重に聞き分け……
「！ なんだぁ！？」
だん！ と開いた扉の内側は、目も当てられない惨状だった。
髭顔の汚い男五人が、あどけない少女を喰い物にしてる。相当乱暴に扱ったのだろう。破られた衣服の隙間から覗く白い肌には、爪痕や鬱血痕、歯形まで付いている。
気分が悪くなる絵面だ。じっくり眺めるつもりは最初から無いが。
「ぐあ！？ てめ……っ」
踏み込んで直ぐ、立っていた二人の腕を斬り、返す刃で少女を辱しめてる男の脇腹を深く刺した。薙払うように切っ先を抜けば、呻く男が仰け反って倒れる。責め苦から解放された少女が涙目を大きく開いて、声にならない叫びを上げた。
「この……っ！ がっ 」
私の後に続いた仲間が、突然の強襲に愕然とする他の二人を取り押さえ、狂った空間は一応の落ち着きを取り戻す。逃げるかと思って外にも待機させてたが、必要無かったようだ。
「……これで全員か？」
剣身に付着した血を払い落として、腰に下げる鞘に戻した。
……帰ったらいつもより入念に手入れしよう。
「ちくしょう……てめぇら何者だ！？」
取り押さえられたハゲ男が顔を床に擦り付けながら何か呻いてるが、答える義理は無い。仲間に連れて行けと指示して、私は横たわって震える金髪の少女を抱き起こす。
「んん！ んんんーッッ！！」
酷く怯えた金色の目をこれでもかと見開いて必死に抵抗する。
これは多分、自分がされた事と目の前で人が斬られた事の両方に恐怖し、混乱してるのだろう。
「恐がらせてしまって、すみません。もう大丈夫ですよ」
興奮状態に陥ってる少女の頭を撫でて、ぎゅうっと肩を抱き締める。
これで落ち着くとは思えないが、とにかく敵意は無いと根気強く示すしかない。
「ふ……うぅ、うぐ……っ」
四肢を力の限り振り回して暴れ……疲れたのか、急に大人しくなった。
体を少し離して、口に詰め込まれた下着を取り払う。
「大丈夫。……大丈夫ですよ」
「
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