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黒魔術師松本沙耶香 魔鏡篇
7部分:第七章
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第七章

「朝は一本でいいわ」
「左様ですか」
「朝はお酒は軽くね」
 微笑みながらの言葉だった。その顔で言うのだった。
「そして夜にね」
「夜にですか」
「お酒、特にワインは私にとっては血と同じもの」
 シャンパンを飲みながらだ。そのうえでの言葉だった。シャンパンをゆっくりと飲み味を口の中で楽しんでだ。そうして言うのである。
「幾らでも飲めるわ」
「お酒お好きなのですね」
「だから血と同じものだから」
「それでなのですね」
「そうよ。それではね」
「はい、まずは朝食を頂いて下さい」
 こう話してだった。そのうえで食べてだった。沙耶香はあらためて客室に案内された。立派な白いソファーはイギリスのビクトリア朝のそれを思わせる。そのソファーに座って向かい合ってだ。仕事の話を聞くのであった。
「それでなのですが」
「仕事はどうしたものかしら」
「鏡です」
 春香がまず出してきたのはこれだった。
「鏡ですが」
「鏡なのね」
「はい、鏡です」
 また沙耶香に対して答えてきた。二人の前にはロイヤルミルクティーが置かれている。ブラウンの壁の部屋の中で向かい合いながらだ。そのうえで話をするのであった。
「鏡なのです」
「鏡ね」
 沙耶香は鏡と聞いても表情を崩さなかった。こう言っただけであった。
「よくある話ね」
「よくありますか」
「貴女は奇術師だったわね」
 今度は春香自身に告げた言葉だった。
「そうだったわね」
「はい、そうです」
 そして春香も頷くことでその問いに答えた。
「私は奇術師であることに誇りを持っています」
「そうね。だったらわかるわね」
 ここまで話したうえでまた言ってみせたのである。
「鏡のことが」
「鏡、ですか」
「鏡はただ映し出すものではないわ」
 こう言うのであった。今度は。
「その中にも世界があり」
「はい」
「そしてそこにいる存在は妖しいものであったりするわ」
「妖しいですか」
「鏡の世界は私達の世界であって私達の世界ではない」
 少し聞いただけでは矛盾する言葉であった。だが沙耶香はここではあえてこう言ってみせたのである。まるでそこに深い意味があるかのようにである。
「そういうものだというのは知っているわね」
「はい、知っています」
 春香は沙耶香の問いにこくりと頷いて答えた。
「少なくともそのつもりです」
「そうね。だからよ」
「驚かれなかったのはですか」
「そういうものだと知っているから」
 だからだというのであった。
「それでね」
「では今回のお話は」
「勿論受けさせてもらうわ」
 それについてはむべもないといった返答だった。
「だからこそここに来たのだし」
「有り難うございます」
「御礼を言う必要はないわ」
 そ
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