暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第168話 別人
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 もう朱い空も徐々に陰り、暗闇が迫っている。その空を仰ぎながら、シノンは実感した。


――勝った。殺した。


 強敵を殺す事が出来た喜びが胸に押し寄せる。これで、自分は、あの世界の(・・・・・)自分自身は多少は強くなれただろうか? ……いや、それは帰ってみるまで判らない、結論を出す事は出来ないだろう。

「っ……」

 ゆっくりとシノンは身体を起こす。
 達成感も持ち合わせていたが、ここでずっと寝ている訳にはいかない。この場は圏外、ニュートラル・フィールドであり、安全地帯ではないのだから。

 そんな時だった。

 背後より、気配を感じたのは。

「っっ!!」

 勝利の余韻も冷めぬまま、新たな敵が現れたのか?と思う。
 味方達は殆ど全滅し、敵側も全滅した今、ここに近づいてくる者など、第三者以外考えられない。

「……見事だ」

 誰とも判らない。声色から男だという事は判ったが……。

「っ!?」

 シノンは直ぐにその声が判った。……この声、忘れる筈もないからだ。如何に戦闘、激闘直後であったとしても、この声だけは忘れられる筈が無いから。

「じい……、っと。あの男が殺られるとは思ってなかった。横槍をするつもりも無いし、ただ傍観をするだけのつもりだったが、思わず近くに来て、声をかけてしまったよ。感動した。……いいセンスだ」

 そこまで言ったと同時に、シノンはまだ片脚の状態だったのにも関わらず、身体を瞬時に起こした、まだ弾倉(マガジン)が残っているグロックを持ち直し、構えた。その行動は当然だろう。
 戦闘の終わりを狙ったかのように来たのだから。

 漁夫の利を狙うかの様に。

 だから、男は 少し慌てて手を前面に出した。

「オレには争う意志はない。……それに、今戦うのは圧倒的にフェアじゃないだろう?」

 そう言っていた。
 目の前の彼女は戦った後に、部位折損もしているのだ。そんな状態の相手を攻撃するつもりはないし、したくもないと言うものだった。

 だが、シノンは違う。


「なら……私を酷評でもしに来たの?」
「ん? 酷評? オレは感動した、と言った筈だが」
「……ふざけてるの? それに言ったわよね。次にあったら その頭、吹っ飛ばしてやるって!」

 勝利の余韻もまだあったが、眼前にいるのは待ちに待ったあの男だったからだ、と言う事もある。そして、厳密にはシノンが言っているのは違う。ヘカートを使いこなしてから、吹っ飛ばすと彼女は言った。次にあったら相手を……と言ったのは彼?の方だ。

「何をいって……ぁ」

  等の男は戸惑っている様子だった。

「……早く再開したいと思っていたし、勝ち逃げされたかとも思っていた。ここで終わらすわ
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