暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第167話 冥界を司る女神
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距離が遠いだけの相手。気づいてさえいない相手。距離1500?そんなもの、丸めた紙をくずかごに投げ込むようなものだ。あの強い男を前にした時に比べたら、小さい。

 そして、何よりも、それ以上に。



――……アノトキニ、クラベレバナンデモナイ。



 シノンの記憶の奥底、深層域にまだそれは寄生し、根付いているのだ。それを思った瞬間に、まさに彼女は氷になった。

 氷の狙撃手(スナイパー)

 人間のぬくもりなど一切無い。ただ冷たい氷で出来た機械。

 着弾円(サークル)の変動サイクルが一気にスローダウンする。
 同時に時間間隔も引き伸ばされ、円が最小サイズになる瞬間がはっきりと判る。縮小した円が、ミニミを持つ男の心臓のみをポイントした瞬間、シノンはヘカートUのトリガーを引いた。

 それは、まるで雷鳴にも似た咆哮。

 ヘカートUには、そのあまりの威力から受ける反動(リコイル)の衝撃を緩和させるために、制退器(マズル・ブレーキ)と言うものが設けられている。発射の瞬間、巨大な炎が迸り、その役目を果たした。

 弾丸は、音よりも早く、銃声すらも振り切って突進。如何に、制退器があるとは言っても、その想像を絶する威力の対物狙撃銃(アンチマテリアル・ライフル)反動(リコイル)だ。シノンの身体事、後方へ後退しようとするが、そこはしっかりと踏ん張り、こらえた。相棒と決めたその時から、このコの事を誰よりも知ろうとしていたシノン。そんな体たらくは見せない。

 そして、1500mと言う遠距離から放たれたのだが、そのヘカートUの巨大な発射炎(マズル・フラッシュ)に気づいたのか、男がふっと顔をあお向けた瞬間。

 ヘカートUの咆哮が男の身体を襲った。

 恐らく自分が撃たれたのだと言うことは、身体がバラバラになった後で実感しただろう。狙ったのは心臓部だが、ヘカートの威力は男の上半身を吹き飛ばした。そして、少し遅れて下半身が赤い硝子片となって消滅した。
 足元には、ランダムドロップである高額銃であるミニミが落ちている。……今頃、死に戻りをして総督府にいるであろう男は、殺されたショック、高額な銃を失ってしまったショックの2つの苦しみを味わっている事だろう。

 シノンはそれを無感動に確認すると。

狙撃成功(ワン・ダウン)……』

 と心の中で呟いた。

 そして、標的である他のパーティーメンバー達は、突然仲間が粉砕された事に驚愕・硬直していた。通常であれば、そこから精神状態を立て直して狙点を認識し、回避行動に取る。が、それはそう早く見積もっても、5秒はかかるだろう。その混乱を突けば、とシノンは素早く次弾装填(リロード)にかかる。
 このヘカートUは、|対物狙撃銃《アンチマテリアル
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