暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第167話 冥界を司る女神
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シノンは我に返ると同時に、即座に振り向こうと行動した。

 腰のホルスターに挿したもう1つの自分のサブアームであるハンドガンに反射的に手が伸びる。

 背後を取られた以上、勝敗は喫しているも同然だが、自分はまだ生きている。……つまり、戦える。


――この相手にはもう負けたくない。


 例え、実力の差がかなりあったとしても、勝算など0だとしても、相打ち覚悟でも撃ち抜いてやるつもりで、グロッグを抜き、構えたのだ。
 だが。

『止めなさい。ここで、人間同士、争っても何も益は無い。無駄に体力・弾丸を浪費するだけですよ。我々の敵はアレです』

 男に、シノンは 構えたグロッグのスライド部分を掴まれてしまった。
 その距離までははっきりと判っていなかったが、まだ少しは離れていた筈だ。ライフルを構えていたから、伏射姿勢だったから、と様々な言い訳が頭の中に浮かぶが決して言葉にはしない。例え、立っていたとしても。……例え、向き合っていたとしても。
 ここまで、接近されてしまえばもう勝機は無いとまで言えるのだから。

『アンタは、やっぱり あの時の……』

 シノンは、搾り出す様にそう言葉を発する。

 この時だけ、自分自身の声に違和感が無かった。外見に似合わない様な掠れた声だからだ。

『やはり……、狙撃手(スナイパー)である事、そして 見覚えのある外見でしたから、よもやと思いましたが、貴女でしたか』

 そう言うと、シノンのグロッグからゆっくりと手を離した。そして、シノンの全身をゆっくりと見る。男に至近距離から見られていて、普段なら不快に思うがこの時はそうは思わなかった。
 ただただ、あの時の敗北感を再び頭の中で蘇らせていた。

 そして、男は一頻り、シノンを見た後、その目を見ると一言。

『腕を、上げましたね』

 そう答えていた。
 それは、賛辞の言葉のつもりだろうけれど、今のシノンには嫌味にしか聞こえない。

『……圧倒的に、有利な立場だったのに、即効で背後を取られた挙句、銃を制され、ホールドアップ状態。こんな有様の私の何処が?』

 敗者同然の自分なのに、そんな愚痴言う資格も無いと思った。でも、シノンは、言わずにはいられなかったのだ。
 それに、言われたくないのなら、即座に殺せばいい事だ、とも思っていたから。

 それに、ここまでの敗北は、ベテランの域に達したと 自負をしてから、これまでに無かったのだから。

 それも、同じ相手に2度も。

『見れば判りますよ。アバターとは言えこの世界の貴女其のものですからね。佇まいから雰囲気まで証して、腕を上げた。と感じただけです。……仮想世界とは言え、視える(・・・)もの、なんですよ。これは請け売り、ですがね。ただ…
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