5部分:第五章
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である。
「皆さん来られてますね」
「はい」
その美女は春香の言葉に静かに頷いた。
「既に」
「わかりました」
美女から放たれる硬質の声に頷く。それはソプラノであるが何処か冷たい響きさえ見せていた。春香の柔らかく優しい声とは対象的であった。
春香はその声を受けたうえで。テーブルに着いている一同に告げた。
「では皆さん」
「はい」
「朝食を頂きましょう。この日のはじまりを感謝して」
「では」
彼女の言葉と共に皆食べはじめる。沙耶香もだ。そのメニューは朝食としては豪華なものだった。少なくとも量はかなりのものである。
ベーコンエッグは卵もベーコンも固く焼かれている。その卵は二つだ。そしてサラダがありレタスにラディッシュ、トマト、セロリ、そしてオニオンが刻んで入れられていて白いドレッシングがかけられている。
ソーセージとハムもある。ソーセージはボイルされている。
マッシュポテトまである。その量も皿に一杯だ。
スープは野菜スープだった。人参にキャベツ、カブに香草が入ったコンソメである。そこにトーストである。デザートはヨーグルトにジャム、それとグレープフルーツや苺、それとオレンジとバナナだ。かなり豪勢な朝食であった。
「如何でしょうか」
「この朝食ね」
「はい、如何でしょうか」
「味についてはまだ言えないわ」
それについては今は言わない沙耶香だった。
「それはね」
「まだ召し上がられていないからですね」
「そう、だからね」
うっすらと笑ってだ。そうしての言葉だった。
「それについてはまだよ」
「まだですか」
「食べてから述べさせてもらうわ。ただ」
「ただ?」
「メニューは豪華ね」
笑みはそのままだった。そのうえでの言葉だった。
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