第十幕その六
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「よくここまで来たね」
「人がここまで来るなんてはじめてじゃないかな」
「よく来られたね」
「凄いね」
「あの、いいかな」
カエルマンが青龍と玄武に尋ねました。
「そちらの亀さんは玄武さんだね」
「そうだよ」
その通りだとです、玄武はカエルマンに答えました。
「僕が玄武だよ」
「そうだね、そして」
「私は青龍だよ」
青龍も自分から答えました。
「私達は共に四霊獣だよ」
「そうだね、けれどどうしてなのかな」
カエルマンは考えるお顔で二匹に言うのでした。
「青龍さんが北にいてね」
「私が東を司っているからだね」
「そして玄武さんの方も」
「蛇君がいないことだね」
玄武も言います。
「そのことだね」
「不思議に思ったのはこの二つだよ」
そうだというのでした。
「どうしてかな」
「実はね、蛇君が今動けないんだ」
玄武が答えました。
「これがね」
「動けない?」
「そう、動けないんだ」
そうだというのです。
「身体の調子が悪くて」
「身体の?」
「そうなんだ」
こうお話するのでした。
「それでずっとこの湖の底で休んでいるんだ」
「身体の調子が悪い」
「それで私も気になって来たんだ」
青龍も言うのでした。
「東からね」
「そうした事情だったんだね」
「私達四霊獣は友達同士で」
カエルマンにお話します。
「特に龍と蛇は近いからね」
「それでどうしても心配になって」
「ずっとここにいるんだ」
「そのことはわかったよ、ただね」
「言いたいことはわかっているさ」
青龍はカエルマンに答えました。
「そのことはね」
「そうなんだね」
「私は東を司っていてね」
「春や木もだね」
「この国は常春だけれど」
「それでも木とかはね」
「色もね」
この場合は青です、青龍のお身体の青はそれこそマンチキンの国に相応しいまでのとても奇麗な青です。
「あまり長く違う方角にいると」
「よくないよ」
「そうしたものが乱れるからね」
「だからね」
カエルマンは青龍に言いました。
「青龍さんには戻って欲しいけれど」
「わかっているけれど」
「どうしても心配になっていて」
「ここにいるんだ」
玄武の傍にというのです。
「蛇君のことが気になってね」
「あの、それじゃあ」
今度は神宝が青龍に尋ねました、玄武にもです。
「蛇さんは一体どういった感じでしょうか」
「身体がだるいというんだ」
玄武が答えました。
「しんどいってね」
「そうなんですか」
「だからね、この湖の底にね」
「ずっとおられるんですね」
「そうなんだ、原因がわからないんだ」
玄武も困ったお顔です。
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