第十幕その五
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「あそこだね」
「あそこにですか」
「青龍さんがいるよ」
こう言うのでした。
「あそこにね」
「それじゃああそこに」
「行こう」
こうしてでした、その山と山の間に向かうのでした。
そしてその中で、です。神宝はカエルマンに尋ねました。
「あの、匂いって」
「青龍さんの匂いだね」
「どういった匂いですか?」
「うん、青龍さんは東にいるよね」
「はい」
「そして木を司っていますね」
「じゃあ木の匂いを嗅いで」
「そうなんだ」
それでというのです。
「その木の匂いが強い場所」
「それがですね」
「青龍さんの匂いだって思ってね」
それでというのです。
「嗅いでみたらね」
「山と山の間にですか」
「とりわけ強い木の気配を感じたから」
「そうだったんですか」
「あそこにいると思ったんだ」
「成程、木の匂いですか」
「他の匂いもするね」
ここでこうも言ったカエルマンでした。
「これは」
「これはっていいますと」
「うん、水の匂いもしたし」
カエルマンは今もお鼻をくんくんとさせています、そのうえでの言葉です。
「それもかなり強いよ、お池や川なんてものじゃないね」
「水といいますと」
その匂いということからです、神宝はわかりました。
「玄武さんもですか」
「多分いるね」
「そうですか、じゃあ」
「二匹の四霊獣がいるね」
どちらにもというのです。
「あの山と山の間には」
「じゃあ行けば」
「二匹に会えそうだね」
ネイティブの酋長がお話した様にです、そしてです。
一行は山と山の間に着きました、そこはとても大きな湖でした。その湖の中にです。
とても大きな、全長一〇〇メートルはある真っ黒な亀とです。その亀の五倍はあろうかという細長い身体の青い東洋の龍がいました。
その亀と龍を見てです、神宝はカエルマンに言いました。
「間違いありません」
「青龍さんとだね」
「玄武さんです」
間違いなく、というのです。
「本当におられましたね」
「そうだね、ただ」
「ただ?」
「見たところ」
カエルマンは玄武を見て言うのでした。
「玄武さんの亀はいるけれど」
「はい、それでも」
「蛇の方がいないね」
亀と一緒にいるです。
「そちらが」
「そうですね」
「あれっ、君達は」
ここで、でした。その玄武も青龍もです。
一行に気付いてでした、湖の中からです。
皆にです、こう言いました。
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