暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第166話 2つの出会い
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目標はミニミにする。可能だったら次弾でマントの男を狙う」

 そう言い、ダインも頷いた。
 次弾で、とは言ったがそれが成功するとはとても思えない。ライフルによる狙撃が有効なのは、敵に発見されていない初撃であり、発射点を認識されてからの狙撃は、敵に《弾道予測線》を与えてしまうため、容易に回避されるからだ。それは、如何にこの、自身の分身と言っていい相棒である大型ライフルであっても例外ではない。

「おい、喋ってる時間はそろそろないぞ。距離2500だ」

 索敵担当の男がダインから取り返した双眼鏡を除いて言った。その声を合図に、ダインは背後のアタッカー3人に振り向いた。

「よし、オレ達は作戦通り、正面のビルの陰まで進んで敵を待つ。――シノン、動き始めたら、オレ達には奴らが見えなくなるからな、状況に変化があったら知らせろ。狙撃タイミングは指示する」
「了解」

 シノンは再びライフルのスコープに右目を当てた。
 標的パーティーに目立った変化はみられない。相変わらず、やや遅いペースで荒野を移動している。
……その遅さに、やや違和感を覚えたが、もう作戦は始まっているから、余計な詮索はせず、一弾に集中した。標的が歩いている付近は、まだ見通しの良い荒野だが、その少しこちらよりに死角の多い一際巨大なビルディングの遺構がそびえている。そこを利用して、ダインら5人が一気に強襲する作戦だ。

「――よし、行くぞ」

 短いダインの声に、シノンを除くメンバーが短く答えた。
 ブーツが砂利混じりの砂を踏む音を残して、ここ高台の後方から滑り降りていく。シノンは首元のマフラーの下から小さなヘッドセットを取り出し、左耳に装着した。ここからの数分間、シノンはスナイパーとしてのとして、プレッシャーと孤独な戦いをつづけなければならない。自分の放つ一発の銃弾でその後の戦闘の帰趨が大きく動くのだ。その中で頼れるのは、自分自身の指と、そして物言わぬ銃のみ。左手を二脚に支えられた巨大な銃身に滑らせる。
 その黒い金属は、冷たい沈黙をシノンに返す。



 シノンをこの世界では珍しい狙撃手としてそれなりに有名プレイヤーたらしめているのは何よりもまず、この実弾銃の存在ゆえだった。



□ PGM・ウルティマラティオ・へカートU

 全長138cm、重量13.8kgと言う図体を持ち、50口径、即ち直径12.7mmもの巨大な弾丸を使用する。
現実世界では、対物狙撃銃(アンチマテリアル・ライフル)、と言うカテゴリーに属すると聞いた。その威力は絶大、つまり、本来車両や建造物を貫くことを目的とする銃だと言う事。
 そのあまりの威力から何とかという長い名前の条約で、対人狙撃に使用するのは禁止されているらしい。現実世界では、例え1km離れた場所でも威力は
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