暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第165話 現実世界と仮想世界
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き始めた太陽が薄い黄色に染めていた。岩と砂ばかりの荒野に点在する、旧時代の遺物である高層建築の廃墟が描く影は徐々に長く伸びていく。……後一時間も待機が続くものならば、夜間装備にしなければならないだろう。
そう、この場所は現実日本では有り得ない光景だ。そして、ALOとも違う光景。
あの妖精の世界とは、似ても似つかない光景だ。そこは無骨な建造物が立ち、そして何処までも続くかと思える荒野。
そう、この舞台は《ガンゲイル・オンライン》である。
時刻は先ほども言ったとおり、もう直ぐにでも夜間になるだろう。そうなれば、暗視ゴーグルを使用した戦い、戦闘になる。そうなれば、この世界がゲームである事をより強く無意識に認識してしまうから、殺し殺されることの緊張感を削がれてしまう。
だからこそ、自分《シノン》の好む所ではなかった。
身も凍る様な緊張感の中、闘いたい。と常に思っている。自分自身は氷で出来ている。
そう、『冷たい氷で出来た機械』
血肉湧き踊る様な戦闘が嫌いな訳ではない。
『ただ強い者と相対し、そして殺したい』
そう思っているだけだ。そして、その願望には勿論訳はある。ただの快楽の為とか、そんな低脳なものじゃない理由が。
それを考えると同時に、嘗ての映像が頭の中に流れてしまう。自動再生を繰り返しているかの様に。
「(……あの男、今度会ったら、殺す。必ず頭を撃ち抜いてやる)」
今ここにいる理由とは違う事を、シノンはなぜか考えてしまっていた。
今は何時、敵が現れても冷静に対処、狙撃をする為に集中力を高めておかなければならない時間帯。なのに、何故かあの男の姿が頭に鮮明に浮かび上がったのだ。
早く標的のパーティーが現れないものか、と思う苛立ちに似たものよりもずっとずっと考えてしまう。
その理由の1つは、判りきっていた。
――……以前、完膚なきまでにやられた借りを返す!
それがシノンの理由だ。決して不意をつかれた訳ではない。
狙撃手
(
スナイパー
)
である自分には圧倒的に有利な場面だった。なのに……。
シノンが嘗ての敗北を思い出し、噛み締めているその時だった。
戦闘を今か今かと待つパーティーメンバーの小声のぼやきが聞こえてきたのは。
そして、この数分後に戦闘に入る事になる。
それは、考えていたモノよりもずっとデカい戦いになる。
この時の彼女は、勿論メンバーの誰ひとりとして、それを知る由も無かったのだった。
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