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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第163話 ガンゲイル・オンライン
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も、この隣の男よりは。
そんな時だ。
男がゆっくりと立ち上がっていた。衣擦れの音も、椅子を引く音もまったく聞こえなかった。それこそ、幽霊かと思える程のモノだ。
だが、それは喧騒の様に沸き立つ、この酒場内だからだ、と言う理由もあるだろう。
そのまま、ゆっくりと一歩、一歩と進んでいく。
その男を見て、本能的に何か嫌な予感が走った。
これは、長年積み重ねてきた自分自身の勘が告げている。
――……何かが起こる。そう直感した。
「……愚かな者たちよ。恐怖するがいい」
彼の呟きは、喧騒の中に呑まれ、誰の耳にも入らない。だが、その行為は見ることが出来た。ホルスターから、無骨なハンドガンを抜き出した。ギラリとブラック・メタリックの輝きを放つ
自動拳銃
(
オートマチック
)
。 形状から、ベレッタ……、いや、トカレフだろうか? と思った。そして、その銃がなんなのかは確信した。
グリップ部分を握りこむ前に、見えた星の形をした刻印を見てだ。
通常なら有り得ない程、この男に意識が集中している自分がいる事が不思議でならなかった。
そんな思考を張り巡らせている事などまるで知らない男はと言うと、そのまま スライドを引き初弾を装填する。そして、銃口を上空……、あのホロパネルに向けた。
流石に酒場の中央で、そんな行動をすれば回りに気づかれる。気づいたその殆どのプレイヤーたちは、失笑をしていた。その無意味な行動に。
だが、そんな事はお構いなく、男は一頻り この仮想世界の空気を腹いっぱいに溜めると、大声と共に、吐き出した。
「ゼクシード! 偽りの勝利者よ! いまこそ、真なる力による裁きを受けるがいい!!」
大仰な言葉を並べた男はそのまま銃口をモニターに写っているゼクシードへと向けた。呆気に取られる他のプレイヤー、だが次第にその表情は嘲笑に変わった。そうしている内に、あの男は左手で十字を切った。
そのまま……、引き金を絞る。
スライドがブローバックし、発射炎が黄色く輝いた。
ブローバック、と言ったが、あの拳銃は確かショートリコイル式、だったとどうでも良い事を軽く考え直していた。
そんな感じで、銃弾がだぁん!=@と言う音と共に発射され その弾丸が軌跡を残しながら瞬時にモニターに映るゼクシードの額に直撃した。ライトエフェクトを散らしたが、それだけだった。映像の中の彼は、まだ盛んに口を動かしており、何ら問題はない。
それは、当然の事だ。
この場には彼はいないし、何よりこれはゲーム内。真なる力なんてものは存在しない、全てデジタルコードで具現化されたものだから。
店内の嘲笑は次第に大きくなっていった。それ
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