暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
Extra Edition編
第160話 Debriefing vol.4
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雲が立ち込める。

 それは、あの男……須郷の存在だった。

 須郷は、キリトの事を快くは思っていなかった。当然だろう。
 キリトとアスナの関係があの世界ではどう言うモノだったのかを知っているからだ。

 そして、この世界での自分とアスナの関係の事もある。アスナを利用しているという事をキリトに伝え、そして来るなと言う事も伝えた。

 ……キリトは、そんな事聞くつもりはなかったのだが、再び無力感が襲ってくる。

――……もし、リュウキだったら……アイツだったら、絶対に糸口を見つけ出しているだろう。でも、自分は仮初の勇者。勇者たる資質を持ち合わせてなんかいない。

 だから……この時のキリトは嘆くしか出来なかったんだ。





「……それは随分と辛い想いをしたね。キリト君。……この時、キリト君は須郷の事は怪しいと思わなかったのかい?」
「……正直、アスナとリュウキの事で頭がいっぱいでしたよ。憎しみを持っていたと言っても そんなものは二の次。2人の事しか考えられなかった。レイナの事もあるから」
「……」

 キリトの言葉を聞いて、改めて深く感謝をしたかった、そして同時に謝罪をしたかった。でも、何度言ってもキリトは、『良いよ』と応えるんだ。『お互い様だと』

 それは、解放されて……、あの世界で、2年間と言う長き旅を仲間たちと終えたリュウキとしての隼人が解放されたその時から、ずっと言い続けたんだ。

 キリトにしてみれば、もう恥ずかしいから、と言う思いもあるだろう。

 状況が状況だったから、しつこい!!とは思ってない様だ。それでも、何度でも言いたい。その想いがリュウキにはあった。

「この時のリュウキ君は、どうだったんだい?」

 正直、それは地雷だとキリトは思った。この時の事、記憶がないとは言え、後悔をずっとリュウキはしていたんだから。でも、そこは菊岡。ストレートに聞いていた。……だが、言葉を濁すよりはマシだとも思えていた。リュウキはゆっくりと口を開く。

「……オレは、キリトの葛藤も知らず、ただ呑気にリハビリを続けてましたよ。……じい、綺堂さんからは 事故で寝たきりだった。だから、身体を動かす為にリハビリをしなければならない、と聞いていた。……なんの疑いもなかったから」

 そうは言ったが、綺堂がとった行動にはなんの落ち度もない。時折、原因不明の頭痛も起きている。その原因が、あの世界に、SAOにあるのだとしたら……、虚実をしてでも、思い出させるのを止めたかった。少なくとも、落ち着くまでは。

「……綺堂氏の判断は、間違っていたと思うかい?」

 菊岡はリュウキにそう聞いた。随分と意地悪な質問だ。そんな事、思える筈がないから。爺やは自分の身体の事を想って、そう言ってくれたんだから
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