暁 〜小説投稿サイト〜
珠瀬鎮守府
響ノ章
深海棲鬼
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たいとさ」
 私の時と比べて大分簡略化した返答を返した提督は、警備隊隊長に目配せした。
「我々は姫の食事を取ってくる。その間、今後姫に必要な物全てと生活の注意点や要望を姫と話し合って決めてくれ」
 要は男が居ない間に女同士で話合えということだ。
「分かりました」
 蒼龍達が見送って、提督達は部屋を離れた。


「へぇ、体温が低いのね。食事も日に二度で良い理由だ」
 提督たちが居なくなった部屋で、姫と話し合いを進める。深海棲鬼なれど、本当に只の人のようだった。というか、相違点のほうが少ない気がする。
 蒼龍の言葉に、姫は言葉を返す。
「ソノ御蔭デ、面倒事モ少ナイノダロウ。オ前タチノ話ヲ聞イテ随分ト不便ダト思ッタ」
「そうかもね」とだけ返して、蒼龍は姫の体の大きさを確かめていく。彼女の服を選ぶ為だ。ついでに下着の類やその他諸々も新調、というか買わなくてはいけない。どこからこのお金は出てくるのだろうか。多分というか、確実に白木提督の懐の中だろう。
「お風呂ってどうしようか」
「風呂?」
「体を綺麗にしないと……というか、貴方此処に来てからお風呂に入ったことないの?」
「アノ部屋カラ出サレタノハ数度ノミ。思エバアノ時カラ容易ニ部屋カラ出ラレタ」
姫の言葉に、私達は暫し黙った。確かに危害を加えるつもりはないだろうが、それでも姫をあの部屋から出すとは、隊長や伊勢達はどうしたのだろうか。
「……この鎮守府の警備って概念に疑問を抱いて来たわ」
「厠ハ何処ダト尋ネタ時ニ慌テフタメク隊長トヤラハ見モノダッタゾ」
 全員が黙する。あの男はさぞ扱いに困っていた事だろう。かと言って頼れるのは当時艦娘の中では伊勢と日向しかいなかったとか。二人が居ない時には姫が部屋の中から何か言わない事を終ぞ願っていたに違いない。
「と、兎に角、代謝が低いとは言ってもずっとそのままってのは駄目だから、お風呂には入ってもらうよ。できれば毎日」
「海ニ行ッテ泳ゲバ良イノダガ」
「塩が残るじゃない。それに、流石に海に連れて行くのは提督が許さないんじゃないかな」
「ソウダロウナ。致シ方ナイ。風呂ニモ毎日入ロウ」
 やっと話が一段落したところで、部屋の扉が叩かれた。全員が緊張するが、外から聞こえたのは提督の声だった。
「白木だ。夜食を持ってきた。両手が塞がっているから誰かに開けてもらいたい」
 私は部屋の入口に向かい、扉を開ける。外では両手に夕食を持った白木提督一人だった。
「ありがとう響。姫、夕食を持ってきたぞ」
「忝(かたじけ)ナイ。モウ一ツハ誰ノダ?」
「私のだ。未だ夕食はとっていなかったからな。私は執務室に居る。そちらの話し合いが終わったら誰か私を呼びに来い。残りの家具と備品を運ぶのを手伝おう」
「折角だ、此処で食べれば良かろう」
 姫に誘
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