響ノ章
深海棲鬼
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を摂っている艦娘たちの輪から離れた私の元へ近づいてきて、不知火はそう言った。私は頷き空を見上げた。
「木曾、無事だったわ。顔を合わせてきたわ」
「そう。私もついさっき、顔を合わせてきた」
姫の部屋づくりが一段落し夕食を摂る事になった際、私は提督に連れられて木曾に会いに行った。木曾は私も居た軍属病院の中の個室に入院しており、まだ退院には時間がかかるそうだった。
「元気そうだったわ。退院までは絶対安静らしいけど、彼女にはそれくらいで丁度いいわ」
不知火の言うとおり、木曾は元気そうだった。完治するまで無理は全くできない体となって暇そうではあったが。
そのまま、無言のままお互い食事を進める。食べ終える頃には夕日は沈み、夜の帳が降りてきていた。
「私は天幕に戻るけど、貴方は?」
「私は、また用事がある」
最上が調達してきた備品を部屋に運び入れなければならない。
「そ、じゃ、食器片付けておくわ」
「ありがとう、それじゃ」
不知火と別れて、姫の新しい部屋へと向かう。そうして扉の前に立った時、私は中から声を聞いた。
「コレデ寝ルノカ?」
「うぅむ、文化の違いか。かと言って水槽と岩を用意するにも……」
私は一瞬躊躇して、扉を開けた。中では提督と姫、そして警備隊隊長が居た。警備隊隊長は佩用しており、そして男二人、難しい顔をしていた。どうやら夕食をとりに行った中で、私が初めに帰ってきたようだ。
「なんで姫がもう此処に?」
「姫に進捗状況を伝えたら、折角だし自分も手伝いながら見てみたいと言ったのでな、連れてきたはいいんだが布団で寝たことがなかったり、服をどうしたものかと悩んでいる。生憎今は男二人しかいないのでな、完全にお手上げの状態だ」
艦娘が居ないため、警備隊の彼は佩用しているのか。
それにしても、深海棲鬼とはいえ姫もその名の通り女型なのだ。確かに男しか居ない状況であるなら困ることも有るだろう。改めて姫を見る。体格が一番近いのは……伊勢達だろうか。だが姫のほうが少し大きそうだ。
「幾らか、新調したほうがいいものもあるんじゃないかな」
「それは後に来るだろう女性陣に任せる。しかし、寝床をどうしたものか」
「郷ニ入レバ郷ニ従ウ。慣レテ見セヨウ。コレノ上ニ寝ルノダロウ?」
「そうだが……というかお前は何処まで必要なんだ、食事は日に三度必要か」
「日ニ二度クレレバイイ。大概ノモノハ食ベラレル、ト思ウ。其レニ昨日マデノ食事ハ多スギダ」
「毎度残すからな、そんな具合だと思った。代謝が低いのか」
提督と姫の会話を聞きながら、私は部屋を見渡す。間取りとしては執務室に近い。窓からは今や夜の帳の降りた山が見える。
「提督、只今戻りまし……た。何故姫が此処に」
私と似たような反応をしながら、蒼龍達は戻ってきた。
「姫が手伝い
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