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モン族の服
第一章
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                 モン族の服
 ラオスはタイとベトナムの間、カンボジアの北にある国だ。海はなく全土が密林と山に覆われている国だ。
 その北にはモン族という民族がいる、そのモン族のある村でだ。
 村の小さな娘リュー=チャオルンは祖父のクアンリーにこう言われた。
「御前もそろそろな」
「そろそろ?」
「いい服を買ってやるか」
 こう言われたのだ。
「十歳になったからな」
「十歳になったから?」
「そうだ」
 孫娘のそのあどけない、黒く大きな目と奇麗な黒髪を見ていうのだった。まだ幼いが成長すれば映える顔だと思いながら。
「いい歳だ」
「十歳が?」
「昔はここまで育つことも難しかったんだ」
「そうだったの」
「生まれてすぐに死んだりはしかになってりしてだ」
「沢山死んでたの」
「わしが子供の頃はな」
 そうだったというのだ。
「それでだ、御前も十歳になった」
「それでいい服をなの」
「ああ、買ってやる」
 こう言うのだった。
「これからな」
「それは嬉しいけれど」
 チャオルンも女の子だ、いい服を多く欲しいのは事実だ。それでクアンリーのその申し出は嬉しいことだった。
 だがそれでもだ、こう言うのだった。
「けれどね」
「それでもか?」
「十歳になったらなのね」
「だから昔は皆そこまで育つのも大変だったんだ」
「じゃあお祖父ちゃんみたいな歳になるのは」
「もっとだ」
 それこそというのだ。
「難しかったんだ」
「そうなの」
「今じゃこの村にも年寄りが増えたがな」
「昔はなのね」
「戦争もあったからな」
 インドシナ戦争だ、ラオスは長い間の戦争にも巻き込まれていたのだ。
「この村は兵隊はあまり来なかったが戦争に出た人もいてな」
「それでなの」
「年寄りが少なかったんだ」
「戦争で死んだ人もいるから」
「御前が生まれる十年ちょっと前に静かになった」
 十歳のチャオルンの、というのだ。
「やっとな」
「そうだったのね」
「とにかく昔はだ」
「十歳になるだけでもだったの」
「大変だったんだ」
「それでなのね」
「お祝いにいい服を買ってやる、あとご馳走も出そう」
 食べる方もというのだ。
「婆さんに言ってな」
「お祖母ちゃんもなのね」
「あそこまでなるにはな」 
 それこそというのだ。
「大変だったんだ」
「お祖母ちゃんみたいな歳になるのにも」
「大変だったんだ」
 昔はというのだ。
「だからだ、どんな服でも言え」
「どんな服でもいいの?」
「買えるだけの値段だがな」
 流石に金に糸目はつけないという訳にはいかない、リー家は村のごく普通の家からだ。それでこうも言ったのだ。
「何でも言え」
「ううん、そう言われると」 
 チャオ
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